マスターブランドとは?
マスターブランドとは、一つの主要なブランド名のもとに、企業の製品やサービスが統一されるブランド戦略のことを指します。
この戦略では、主要なブランドの知名度や信頼性を基盤とするため、新しい製品やサービスを市場に導入する際のリスクを低減し、消費者の信頼を得やすくなるという効果があります。
例えば、AppleやNIKEのように、一つの強力なブランド名のもとに多岐にわたる製品ラインが展開されているのが特徴です。
一方、ブランド体系にはマスターブランド以外にも「マルチブランド戦略」「サブブランド戦略」があります。
マルチブランド戦略とは、一つのコーポレートブランドの下に複数のブランドを展開する方法で、同じ市場内に複数ブランドを持つことでシェア獲得とリスク分散を実現できます。
しかし、それぞれのブランドに投資しなければならず、費用対効果や効率が悪いことがデメリットになります。
もう一つのサブブランド戦略は、マスターブランド戦略とマルチブランド戦略の両方を兼ね備えたような戦略です。
具体的には、既に展開しているコーポレートブランドに新しいブランドを紐付けたり、コーポレートブランドとは別の新たな独立したブランドを展開する方法になります。
そのため「マスターブランド戦略」は、一つのコーポレートブランドを軸に展開する手法ですが「マルチブランド戦略」と「サブブランド戦略」は、複数のブランドを展開するという違いがあります。
マスターブランドのメリットとデメリットを解説
マスターブランド戦略は多くの企業に採用されているブランド戦略の一つではありますが、当然メリットとデメリットは存在します。
例えば、マスターブランド戦略はその強力なブランド力を活かすことで高い費用対効果を実現できる一方、適切なブランド管理が必要不可欠となります。
それでは、より詳細に考えられるメリットとデメリットについて紹介していきます。
マスターブランド戦略のメリット➀:ブランド拡張の容易さ
マスターブランド戦略の特徴として、既存の強力なブランドの知名度や信頼性が基盤にあるため、新製品やサービスの市場導入がスムーズに行えます。
従って、消費者は既にブランドを認識しており、安心感を覚えやすいため、新製品への抵抗が少なくなる効果を得ることができます。
マスターブランド戦略のメリット②:費用対効果
新製品やサービスを市場に導入する際のマーケティングや広告費用が削減できます。
既存のブランドの知名度を利用することで、効果的な宣伝活動が可能となり、その結果、高いROI(投資収益率)を期待できます。
マスターブランド戦略のデメリット➀:リスクの集中
もし主要なブランドに何らかの問題やスキャンダルが発生した場合、その影響が製品ライン全体に及ぶ可能性があります。
一つのミスが全ての製品やサービスに悪影響を及ぼすリスクが大きいため、この点がマスターブランド戦略のデメリットの一つと言えるでしょう。
マスターブランド戦略のデメリット②:柔軟性の欠如
もう一つのデメリットとしては、ブランドのイメージや価値提案が固定されてしまい、市場の変化や消費者のニーズに迅速に対応することが難しくなる可能性があることが挙げられます。
マスターブランドに適している商品と実際の成功例
マスターブランド戦略は、高い知名度や信頼度を誇るブランドの商品やサービスに適しています。
具体的には、長い歴史を持つブランドや、品質やサービスにおいて業界内での評価が高いブランドがマスターブランド戦略を採用する際に有利です。
ここからは実際にマスターブランド戦略を採用し、ブランディングに成功している企業をご紹介します。
ソニー株式会社
ソニー株式会社は、エレクトロニクスやエンタテインメント、テクノロジー&サービス事業を行っています。
異なる製品カテゴリーで幅広い製品を提供していますが、それら製品は全て「Sony」というブランド名の下で販売されています。
消費者はさまざまな製品に対して一貫性のある品質とブランド価値を期待しているため、企業もそれに応えるべく、良いブランドイメージを保てるよう努力し続ける必要があります。
レッドブル・ジャパン株式会社
レッドブル・ジャパン株式会社は、エナジードリンク市場で非常に高いシェアを誇る会社です。
世界中でも高い知名度の高いレッドブルですが、特にその赤いロゴが象徴的であり、エナジードリンク市場でリーダーの地位を確立しています。
製品の味やデザイン、広告キャンペーンなど全てにおいて、ブランドの一貫性を重視し、統一したブランドイメージを提供することで、消費者はどこで製品を購入しても同じブランド体験を得られます。
NIKE
NIKEは、スポーツウェアやフットウェア、アクセサリーなどを提供する世界的に有名なスポーツブランドです。
「Just Do It(たとえば、やり遂げろ)」という有名なスローガンや「Swoosh(スウッシュ)」として知られるロゴは強力なブランドアイデンティティを構築しています。
バスケットボールやサッカー、テニス、ゴルフなどのさまざまなスポーツカテゴリーでブランド展開を行っていますが、全ての製品ラインにおいて「NIKE」ブランド名の下で製品を提供しています。
これにより、消費者はどの製品でも同じブランドの信頼性と品質を持っています。
マスターブランド戦略の進め方と成功する秘訣とは?
マスターブランド戦略の成功は、戦略的なプランニングと実践的な運用がカギとなります。
まず、商品やサービスとの相性を確認し、その商品が持つ独自の価値や特長が、マスターブランドと一貫性を持つことができるのかを検討します。
次は戦略の策定(プランニング)に移ります。具体的には「市場の動向」「ターゲットとする顧客層」「競合他社の戦略」などの多岐にわたる要素を検討し、それらに基づいてブランドのポジショニングやメッセージを明確にします。
ここからの実践的な運用には、マスターブランド戦略の豊富な経験や正しい知識の理解が必要不可欠です。どのような戦略を運用するのかによって、市場の反応も変わる可能性があるため、慎重に戦略を練り、定期的な検証や改善を行うことが重要でしょう。
マスターブランドとブランドアンブレラ戦略の違いはある?
マスターブランド戦略とブランドアンブレラ戦略は、しばしば混同される用語ですが、実際のプランニングや運用にほぼ違いはありません。
マスターブランド戦略は、企業や組織の主要なブランドを前面に出し、その認知度や信頼性を利用して、関連する製品やサービスのブランド価値を高める手法です。
そのため、メインブランドの力を活用して、新製品やサービスを市場に投入する際のリスクを低減できます。
一方でブランドアンブレラ戦略も、一つの強力なブランドの名前やロゴを複数の関連製品やサービスに使用することで、それら全体のブランド価値を向上させるという戦略です。
どちらの戦略も「強いブランドの下に、複数の製品やサービスを展開する」という点では共通しています。ただ、2つの戦略の違いを挙げるとすれば、特定の文脈や具体的な戦略の詳細において、どちらの用語を使用するかという点くらいです。
実際のビジネスシーンでもマスターブランド戦略とブランドアンブレラ戦略は、ほぼ同じ意味で使われることが多いでしょう。
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