今こそ、職場から「TELハラ」をなくすとき。fondeskが変えていきたい“電話番”カルチャーと新聞広告に込めたメッセージ。前編

 

2021年3月31日。

「ついに明日から社会人になるんだ」と、全国の新入社員たちが期待と不安で胸がいっぱいになっていたであろうその日の朝、このような15段広告が朝日新聞に掲載された。

 

2021年3月31日付 朝日新聞全国版朝刊 15段広告

 

今こそ、職場から「TELハラ」をなくすとき。

いよいよ明日から新年度。
職場の電話が忙しく鳴る季節も始まります。
中には大切な用件もある一方で
実際はそうでもない電話がほとんど。
仕事の手を止められ、時間まで奪われてしまう。
そんな経験は誰しもあるはずです。

そしていまだに残る「電話番は新人の仕事」という慣習。
かつては彼らが仕事を覚えるために有用だったかもしれません。
けれど、ひと昔前と比べ、重要な電話は激減したのも事実です。
テレワークが当たり前になり
ビジネスの連絡手段が様変わりしているいま、
「電話は新人が取るべき」だったり、
「総務が電話に出るのは当たりまえ」という職場の空気や慣習は、
もはや無言の「電話ハラスメント」になりつつあるのかも。
ハラスメントなんて大げさかもしれませんが、
普段は見えづらい職場の痛みに目を向けてもらうため、
あえてそう表現してみました。

経営や働き方改革を担う皆さま。
職場の電話ストレスを救えるのは、あなたです。
生産効率が求められる中、余分な電話負担もなくし、
現場の力をもっと有意義に活用してもらいませんか。

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日本の企業420万社中、導入企業はまだ2000社。
私たちは「電話」から、働き方改革を推進したい。

fondeskチーム

 

「fondesk(フォンデスク)」とは、株式会社うるるが開発・運営する電話代行サービスである。オペレーターが会社宛ての電話を代わりに受けてくれて、その受電内容をチャットやメールでお知らせしてくれるため、すぐに対応しなくて良い電話や、不要な営業電話に悩まされることがなくなるというわけだ。さらに受電内容がチャットやメールに履歴として残るため、何度もかかってくる営業電話など、対応不要な電話番号も可視化ができるという。現在、2000社以上の企業が利用しているサービスである。(fondesk公式サイト:https://www.fondesk.jp/

今回、fondeskが行った調査によると、社会人の6割以上が「会社や部署の代表電話を不要と感じたことがあり、それらの電話を受けることにストレスを感じている」状態にあるという。そこには「会社宛ての電話は新人が取るべき」という古くからの慣習や、「総務部門社員が電話に出るのは当たり前」という職場の空気感が未だ多くの企業に存在している。こうした、“年齢や肩書によって電話対応を押しつけられる状態”を、fondeskは新しい職場ハラスメントとして捉え、「TELハラ」と命名。さらに、職場の電話ストレス(=TELハラ)をなくし、現場の力をもっと有意義に活用してほしいとの想いから、2021年3月31日付 朝日新聞全国版朝刊に先ほどの広告を掲載した。

社会に対して問題提起をする姿勢を見せたこの広告は、SNSでも話題になり、すぐさまTwitterやYahoo!ニュースで「TELハラ」というワードがトレンド入り。最終的にはTV番組を含めて120以上の媒体に取り上げられることとなった。

 

TwitterやYahoo!ニュースで「TELハラ」が話題となった。

 

今こそ、職場から「TELハラ」をなくすとき。サービスサイトはこちら▶︎ https://www.fondesk.jp/p/telhara

 

 

そこで今回のa.journalでは、fondeskを開発・運営している株式会社うるる 執行役員 / fondesk事業管掌の脇村瞬太さんにお越しいただき、この「TELハラ」にまつわるコミュニケーション全般に関わった弊社・株式会社Birdman 執行役員 / Executive Creative Directorの布施優樹と共にインタビューを行った。

新型コロナウイルスの流行によって、この1年で職場環境も大きく変化したと語る脇村さん。今まで当たり前とされてきた“電話番”の役割に対し、疑問を投げかける形の広告を出そうと思った理由やその背景、この広告に込められている思いなどについて広報 風間が尋ねてみた。

 

脇村 瞬太 

株式会社うるる 執行役員 / fondesk事業管掌
2011年に株式会社うるるに入社し、シュフティ事業部長や事業戦略室室長などを務めた後、新規事業である「fondesk(フォンデスク)」の立ち上げを担当。サービスリリース後2年で2000社を超える有料契約を獲得。クラウドワーカーを活用した「バックオフィス業務のDX化」を推進している。

布施 優樹 

株式会社Birdman / 執行役員 Executive Communications Director
電通Y&R在籍中に獲得した Cannes Lions(2017)、Spikes Asia(2014) 2つのグランプリをはじめ、国内外で多数の受賞歴を持つ。2016年に大型資金調達で話題になっていたロボティクススタートアップ、GROOVE Xに単独自主プレゼンを敢行し、翌年同社に参画。同社の家族型ロボット「LOVOT」のブランドパーパス、CI、マーケティング、異業種コラボレーションなどを担い、LOVOTの出荷を見届けて退社。現職では、事業企画、IMC戦略、クリエイティブ、PRまで一気通貫で手掛ける。

 

上段左が布施で、下段右が脇村さん。株式会社うるる 取締役の小林さんと、広報の山口さんにもご同席いただいた。

 

アフターコロナでの成長の鍵は、未だに残る“電話番”カルチャー。

 

-今回、朝日新聞に広告を出した目的やその背景を教えてください。

脇村さん(以下、脇村):実は最初から「新聞広告を出そう」と思っていたわけではないんです。
2020年1月以降、新型コロナウイルスの流行によって職場環境が変わり、その影響でfondeskの導入企業数は大幅に伸びていました。特に、都内のITベンチャー企業の中では、一定の認知が取れてきたこともあり、自分たちのサービスに自信を持つことができるようになった1年だったと思います。
しかし非IT企業、特に地方や大手企業には、まだまだサービスを知ってもらえていません。コロナで伸びた事業であるからこそ、「アフターコロナでも成長させていくのは難しいかもしれない」という気持ちもありました。
ですからBirdmanさんへ最初のご依頼は、「アフターコロナのタイミングで私たちはどうやって成長すれば良いのか?」というコンサルの部分や、「ブランドのアップデートを一緒に考えていただけないか?」という内容だったんです。

 

-なるほど。最初はコンサルを、というお話だったんですね。

脇村:その後、何度か一緒にディスカッションしていただいた中で、我々が本当に越えなくてはいけないハードルというのは、「新卒の人が電話に出るべきだよね」とか「お客さんに対して代行を挟んで電話をとるって失礼じゃないか」とか、既存の商習慣やオフィスの中の雰囲気であると考えるようになりました。それ自体がダメな考え方とは思ってはいません。ただ、ビジネスの形が大きく変化する中で、そのカルチャーだけをずっと残すというのは、ちぐはぐがあるんじゃないか?と思うんです。
そこでまずは「カルチャーが新しいソリューションの広がりを邪魔をしているのでは」という仮説を立て、検証し、その結果が「正しかった」なら、こういう意見を広告で表明しましょうというご提案を布施さんからいただいたわけです。
fondeskというサービスそのものを売るのではなく、あの広告の中で自分たちの意見を表明し、考える機会を皆さんに作っていただくことが、我々が今後目指すマーケットでの素地作りになる。少なくとも、広告をきっかけに得た社会からの反応は、必ず私たちの財産になると思いました。その意味で布施さんたちには、深い理解と共に良い提案をしていただけたなと思っています。

 

あえて、「TELハラ」という強い言葉で「気づき」を生みたかった。

 

確かに「テレワークは進むのに電話番がいる」というのは“ちぐはぐ”に感じられますね。その環境とカルチャーの“ちぐはぐさ”を社会問題として提起したことが、今回の広告の一番のポイントだと思うのですが…布施さんは最初、どのような提案をされたのでしょうか?

布施:脇村さんから事前にターゲットにしたい企業タイプをいくつか教えていただいた中で、今回はリモートワークが浸透しておらず、総務部や管理部といったバックオフィスが充実している企業を狙ってみよう、という提案をさせていただききました。そしてその切り口として「TELハラ」という言葉を使ってみませんか?という提案もさせていただいたんです。

 

最初から「TELハラ」を提案されたんですね!

布施:はい。ある日、同僚がみんなリモートワークをする中、自分1人がオフィスで作業している日があったのですが、その間にもバンバン営業電話がかかってくるわけです。最初何回か電話に出ましたが、その後はイエマセン…。自分も、会社宛ての電話は誰かが取ってくれるもんだと思っていたわけです。この体験もヒントになって、「会社宛ての電話は総務部が取るべき。」とか「どうせ、〇〇さんが電話応対してくれるだろう。」といった職場の空気感が当たり前になっている企業に、fondeskの認知を広げるためのファーストフェーズには「気づき」が必要だと思い、このような強めのワードを提案しました。
ただ、対立構造は作りたくなかったので、この「TELハラ」という言葉をきっかけに、会社の電話応対に無駄が発生してるということに気づき、部署や役職関係なく会社全体で解決していく、というストーリーにしたいなとは最初から思っていました。
ちなみに、弊社でも「fondesk」を導入しまして特に代表電話の多かった部署からは「業務に集中できる」と大変好評です。 

 

 

なるほど。「気づき」を生むために、このような強い言葉は良い手段になり得るのですね。一方、脇村さんが「TELハラ」という言葉を聞いた時の印象はどのようなものでしたか?

脇村:初めて聞いた時から「いいな」とは思っていましたし、さらに詳しく説明を受けたあとは「なるほどその状態ね」と納得できました。確かに強い言葉ではあったので「他に良い言葉は作れないかな?」と、Birdmanさんと一緒に色々と検討したのですが、言葉が柔らかくなる分引っ掛かりも弱くなることがわかり、そのまま「TELハラ」を採用することにしました。その代わり、他のコピーや我々の発信スタンスの中でその強さを柔らかくカバーしていこうと決めたんです。

 

そのような経緯で「TELハラ」が採用されたのですね。広告を出す上で、他にも気をつけられたことはあるのでしょうか?

布施:広告を掲載する場所も、最初はOOH(屋外広告)、例えば丸の内や新宿といったオフィス街の駅貼りに出すという案もありました。ですが今回の広告はメッセージ性が強い。「TELハラ」という強い言葉を使いながらfondeskから社会に問いかけるものなので、fondeskのようなBtoBサービスの導入決裁者やマネジメント層にリーチする上でも、「ビークルとしては新聞が良いだろう」ということで話が決まりました。そしてもう1つ気をつけたのは、広告を出稿するタイミングです。「明日から社会人」「明日から新入社員がやってくる」という心持ちの人が世の中に沢山いる3月31日は、戦略的に考えて、1年の中でも1番いいタイミングだったなと改めて思います。

▶︎後半へつづく

 

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