BIRDMAN 久野勇人/アイデアを形にするために、クリエイターとして僕がすることすべきこと。前編

 

株式会社BIRDMAN(バードマン)は「Installing Crazy Ideas Everywhere」をスローガンに、クレイジーなアイデアを先端技術で実現する、デジタルデザインスタジオです。そんな世界トップクラスのクリエイターが集まるBIRDMANが昨年、新しくエードットグループのメンバーに加わりました。

今回はそのBIRDMANの社内でも“天才”と評判の久野勇人(くのはやと)のインタビュー記事です。

BIRDMANだけでなく、エードットの社員からも「優秀な若手がいる」と噂の久野ですが、現在は会社だけでなく個人でも様々な活動を行なっているようです。久野の静かで熱い想いを、丁寧に語ってもらいました。ぜひ最後までご覧ください。

 

久野 勇人 / Hayato Kuno
BIRDMAN Inc.ソフトウェアエンジニア。2019年、Facebook London主催のSpark AR Hackathon India準優勝。Text Gangなど個人制作アプリの総ダウンロード数は10万台を超える。
Instagram → @kuno.fell.asleep

 

 

「自分の好きなこと」を仕事にするために、BIRDMANに入社

 

-久野さんはいつからプログラミングをされているんですか?

久野:僕がプログラミングに興味を持ち始めたのは、高校生の時です。当時デザイン系の高校に通っていたのですが、ある時、自分でつくったデザインを見てもらうためのポートフォリオサイトを作りました。そのサイトを公開するためにコーディングに挑戦したら、思いのほかそれが面白くて、どんどんハマっていきました。

 

-プログラミングの面白さを高校生の時に知ったんですね。その後、大学では?

久野:大学では、ウェブプログラミングだけでなく、インタラクティブアートの制作に特化した「Processing」や「openFrameworks」などのプログラミング開発環境に興味を持って、作品制作に取り組んでいました。思い浮かぶアイデアの作品を作り続けるような生活を送っていたのですが、「これを仕事にしたい」と思った事をきっかけに会社を探し、BIRDMANに出会いました。

 

-様々な企業がある中で、なぜBIRDMANに入ろうと思ったんですか?

久野:様々な制作会社のポートフォリオサイトを見た中で、「BIRDMANが1番面白そうだ」と感じました。その時、僕が衝撃を受けた作品が、このAndropというバンドの「Bright Siren」というミュージックビデオです。9年近く前の作品なのですが、250台のカメラを並べて、そのカメラのストロボの光をプログラミングによって制御し、演出に使用したとんでもない映像作品です。

 

 

-これはすごい!

久野:これとかを見て「すごいかっこいいなあ」と思ったんです。そして「この規模の作品に関われたら、きっとワクワクするだろうな」と思い、すぐにBIRDMANのリクルートサイトから応募しました。もちろんBIRDMANで働いている人たちに比べたら経験もないし、自分のスキルが劣っていることは分かっていたので、とにかく自分の熱量だけでも伝えたいと思い、面接には自分が作った作品を20個くらい持って行きました。実際に入社してみて思うのは、BIRDMANはやる気のある人を採用して育てていく雰囲気がある、ということ。採用時は「現状のスキル」よりも「やる気」の方を重視している気がしますね。

 

自分のアイデアが採用された入社後初の仕事

 

-入社後、1番初めにやったお仕事はなんですか?

久野:入社して1番初めは、IntelのEdisonという小さなコンピュータデバイスのプロモーションで『COCORO』というハート型のおもちゃを作りました。大学では、「Arduino」を使用したフィジカルコンピューティングにも興味を持って取り組んでいたので、挑戦させてくれたのだと思います。

 

 

-これってぬいぐるみにハートの装置をつけると、その子と会話ができるようになるんですよね!

久野:そうです。これは、喋りかけた言葉を音声認識でテキストに変換した後、会話のAPIを通し、そこから返ってきた会話文を再び音声化して流す、という仕組みです。さらに、語尾を「ござる」だったり「じゃん」にしてみたりして、端末ごとに、キャラクターを持たせたりしました。

 

-なるほど。これは何人かのチームで取り組んだのですか?

久野:いや、これはCTOのコバヤシタケルさんとコピーライターの3名で作ったんです。でもそれって「新卒最初の仕事」として考えたらありえなくないですか?(笑)アイデアも「自由に出していいよ」と言われたので、僕はその時、100案ほどスケッチ付きで持って行った記憶があります。それでその中から「これいいね」と言ってもらったものを実際に作りました。新人はまず「簡単な手伝い」から任されると思っていたので衝撃でした。僕のことを本当に信頼して任せてくれているんだと思うと責任はすごく感じますが、新人時代からチャレンジできる良い環境であるなと入社当時から思っていました。

 

 

iPhoneを駆使し、驚きの体験を実現させた「はがチャレ」

 

-最近はどのようなお仕事をされましたか?

久野:最近だと日本郵便さんが実施した「はがチャレ」キャンペーン施策の1つとして、『声援で書ける年賀状』の制作を担当しました。メガホンに向かって「頑張れ!」などの声援を送ると、自分の写真とメッセージが印刷されたオリジナルの年賀はがきが作れるイベントコンテンツです。

 

 

-周りの背景から自分だけが瞬時に切り取られて、しかも自分の発した言葉と一緒にはがきに印刷されるんですね。

久野:僕が担当したパートがまさに「メインの人物を切り抜く」というパートだったのですが、実はこれ、iPhoneのカメラを使って切り抜いているんですよ。

 

-iPhoneのカメラ、ですか?

久野:とはいえ、全て自動です。「人物を高解像度で切り抜くポートレート・マット」というiOSの技術と「画像の領域を分割するインスタンス・セグメンテーション」という技術の組み合わせて実装しているんです。本来であれば、KinectやRealSenceなどの深度センサを使用するのが一般的ですが、解像度が低かったり、髪が綺麗にとれなかったりする問題があるんです。今回の場合は、iPhoneのほうがより高いクオリティで処理できると判断して、この方法を採用しました。 

 

左から「元画像」「ポートレート・マット」「インスタンス・セグメンテーション」「最終結果」

 

-そうなると、久野さんから見てもiPhoneってすごいんですね…

久野:そうですね、iPhoneはすごいです(笑)ハードウェア性能や処理能力も毎年パワフルになっていくので、ソフトウェア上でできることもどんどん広がっていってるんですよ。自分の中で新しい挑戦や発見もあったので、この「はがチャレ」の案件は、すごく楽しかったですね。

 

 

自分で考え、実装していくワクワク感を覚えた「SIXPAD STATION」

 

-BIRDMANに入られてから5年が経ちますが、その中で思い出に残っている仕事はありますか?

久野:「SIXPAD STATION」という、EMS(筋電気刺激)を使った近未来型トレーニングジムのインタラクティブミラー開発案件は特に印象に残っています。鏡の前に立つと、自分の上にピッタリUIが重なり、5種類の高効率トレーニング動作を順番に促すとともに、ゲーム形式でスコアも表示/記録されていくMTGのプロダクトです。

 

 

-これも本当にすごいですよね!TVでも特集されているのを見たことがあります。久野さんはこの「SIXPAD STATION」のどの部分に関わりましたか?

久野:自分の担当は、全体のソフトウェア設計、虚像トラッキングシステム、各トレーニングのベース処理、一部アニメーション演出の部分です。システムの核になるようなパートを積極的に実装させていただきました。

 

-なるほど…!

久野:はい。そして、やはり自分が1番ワクワクした部分でいうと、鏡に映る自分の肘や膝の位置に、ピンポイントでユーザーインターフェースを出すための虚像トラッキングシステムの開発ですね。 

 

-確かに人それぞれ身長も違うし、自分が立つ位置によって鏡に映る自分の見え方も変わりますよね。そこを計算しながらシステムを作ったのか…

久野:光の屈折とか、理科で習ったようなことをおさらいしたり、鏡の特性を改めて勉強したりしながら、システムを作っていくのがすごく楽しかったです。それをゲームエンジン上で実現するための工夫もありましたし、出来にも満足しています。

 

ゲームエンジン上でのシミュレーション映像。ユーザーの立ち位置を元に、カメラのパラメータを制御して、ミラーディスプレイに映し出す内容のみを表示している。

 

-自分がやってみたいことを、自由に試せる環境なんですね。

久野:はい、BIRDMANの好きなところです。ただ上司に言われた仕事をやるだけはつまらないし、もっといいアイデアが浮かんでいた時に残念です。新人であっても、自分で考えて実装したり提案できる環境なのは良いですね。

 

▶︎BIRDMAN 久野勇人/アイデアを形にするために、クリエイターとして僕がやることすべきこと。後編へつづく

 

 

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