会社を辞めて起業した後、なぜ「組織」で働くことを選んだのか。

「文鳥社」と「カラス」という会社をやっているので、よく「鳥が好きなんですね?」と言われます。鳥に対しては、「好き」というよりも、「憧れ」に近い感情を抱いています。鮮やかな毛並みをもち、自由気ままに空を飛ぶ、これほど美しい生物が他にいるでしょうか。僕の中では「人間<<<<<鳥」くらいです。

「文鳥社」は文鳥文庫をつくって販売する出版社で、「カラス」は企画デザインを通したブランド(文化)づくりを生業とするクリエイティブ・カンパニーです。カラスは「エードットの100%子会社」であり、僕はエードットの取締役でもあります。複雑ですみません。

よりよいクリエイティブ・カンパニーをつくりたいと思い、博報堂を退職。

僕は、2009年に博報堂に入社し、2015年に退職しました。会社を辞めた理由はたくさんあるのですが(長い会議が嫌いとか)「よりよいクリエイティブカンパニーを作りたい」と思った、というのが大きな理由です。

博報堂はとても素敵な会社でした。上司にもチームにも恵まれていました。だけど、博報堂は「僕らの上の世代」がつくってきた会社でした。メディアに依存していたし、マネジメント陣の年齢も高かく、新しいことに挑戦するには様々な種類の困難がつきまといます(それは仕方のないことでもあります)。

「エードットの伊達」と出会ったのは会社を辞めてから3ヶ月ほどのことでした。伊達は創業から3年で、地道なサンプリング活動などの「SP事業」を着実に積み重ねて利益を生み出す、10人ほどの会社をつくっていました。

伊達は営業と経営のプロフェッショナルだがクリエイティブは弱い。僕はクリエイティブはわかるが営業力と経営力が弱い。一緒に仕事をしたほうが、目指している未来に早く辿りつけるだろう。ピースがカチリとハマる感じがしました。そんなわけで同じ組織で仕事することを決意したのは、出会ってから1年ほど、2016年の9月ごろでした。

「目指している未来に、一日でも早くたどり着きたい」

「船はみんなで漕いだほうが早い」これが今、僕がエードットという組織でみんなと仕事をしている一番の理由です。エードット代表の伊達は最高の経営者だし、続々と素敵なメンバーが集まってきてくれています。その人たちともに理想に一歩ずつ近づいている実感があります。それは絶対に「ひとり」ではできなかったことでした。

もちろん僕だけじゃなく、みんなの理想がより早く前に進む組織にしていきたい。それが曲がりなりにも経営者をやっている僕の役割だと考えています。

僕はお金や権力なようなものに無頓着です。ただただ、一つでも自分が理想だと思う仕事を実現していきたい。それがエゴと呼ばれようがかまわない。自分が生きた証拠となるような仕事をしたい。本当にそれしかないのです。その目標のために、今のエードットという器は最高の器だと確信しています。

もっと素敵な八百屋のある社会をつくりたい。タピオカ屋さんを文化にしたい。社会にはびこる不均衡を壊したい。広告業界を社会のためになる産業にしたい。素敵な会社のメンバーが輝ける会社をつくりたい。世界平和を実現したい。やりたいことはたくさんあるし、尽きることはきっとありません。

逆に言えば、まだまだそれらはほとんど実現できていません。人生の達成率でいうと2%くらいな気がしています。上場しようがそれは変わりません。

だからまだまだ全力で、エードット という船を使い、みんなで精一杯漕いで、「目指している未来」に一日でも早くたどり着きたいと考える、GWの初日でした。