新進気鋭の7人組アーティスト「7ORDER」と、企画戦略からデジタル・クリエイティブまで一貫して手がける株式会社Birdmanがタッグを組むことを発表したのが2021年9月。
アーティストと、クリエイティブを得意とする事業会社が対等な立場で連携し、新たなステージを目指すという「グロースパートナーシップ」は、エンタメ業界では全く新しい形のタッグとして話題を集めました。
今回は7ORDERを代表してリーダーの安井謙太郎さんが登場!
パートナーシップを結ぶことになった経緯、始動して数ヵ月経った現在の気持ちを伺いました。
「グロースパートナーシップ契約」については、こちらもご覧ください
神奈川県出身。2019年5月に7ORDERを結成し、2021年1月に日本コロムビアよりメジャーデビュー。グループではボーカルを担当し、個人では舞台「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- -track.5-(2022年)」に飴村乱数役で出演するなど俳優としても活躍。現在全国ツアー、7ORDER LIVE TOUR 2021-2022「Date with. . . . . . .」を開催中。
トライ&エラーができる、この環境が楽しい
―バンドやダンスパフォーマンスを武器とするアーティスト、7ORDER。7人のメンバーはそれぞれの個性と才能を生かして、俳優や声優、楽曲制作、アートワークなど多岐に渡る活動をしていますね。
僕たちはもともと、趣味や好きな音楽もバラバラな7人。それぞれが俳優のお仕事をさせていただいたり、声優に挑戦したり、個人のアートプロジェクトを走らせていたり――イメージとしては個人事業主みたいですね。
ただ、“人を喜ばせたい!”という思いが核にあって、その活動のために7ORDERという一つのグループになれるんです。グループとしてのメインの活動はライブになるのですが、“人を喜ばせる”というベクトルであれば、ライブ以外にも様々なことに挑戦していきたいと考えていて。今後経験を重ねていくうちに、活動の幅を増やしていけたらと考えています。
この記事を読んでくださっている方のなかには、僕らのことをまだ知らない方もいると思うので、「今はライブをメインに活動しているアーティストだけど、これから少しずつ大きく、新しい形になっていく可能性を秘めたグループ」……と、大きく自己紹介しておきます!(笑)
―ライブ以外の挑戦とは、どのようなものをイメージしていますか?
今思いつくことでは、地域活性のお手伝いをしたいですね。人を喜ばせることは全てエンターテインメントだと思ってるので、それがステージの上であったとしても、ステージの外であったとしても、実はそんなにかけ離れたことではないかなと思うんです。
将来像としては、例えば数ヶ月地方へ行って町おこしをして、一日渋谷でイベントに出演して、その翌日はアリーナやドームでライブをしている、みたいなことができれば(笑)。「何、その訳のわからないグループ!」と思われそうですけど、それも面白いはず。
もともと新しいことにチャレンジしたいという思いは持っていましたが、今回あえてエンタメ業界の企業ではないBirdmanと新しい形のパートナーシップを組んだからには、フォーマットに則らない活動をすることを、より意識していきたいと思います。
―そもそも、7ORDERがBirdmanとタッグを組むことになったきっかけは?
共通の方のご紹介で、お話を聞かせていただくことになったんです。お互い業界も違いますし、僕らもBirdmanのことをまったく知らない状態だったので、まずはお互いを知ることから始めました。
お話をさせていただくうちに、広告代理店という枠組みに捉われない非常にクリエイティブな会社であることを知り、「Birdmanとだったら面白いことができそう!」と、わくわくしたのが最初の印象です。プロダクトを作れる会社や企画力がある会社は多くありますが、その両方ができる会社というのはなかなかないと思うんです。Birdmanのハード面とソフト面どちらも兼ね備えている部分に惹かれましたね。
それから、広告業界の中で独自のポジションを築いてきたという、会社としてのストーリーにも共感しました。
Birdmanの皆さんにとっては、これまでのクライアントワークと違うことばかりでしょうし、7ORDERがいろいろ会社を引っ掻き回してしまうと思うんですけど(笑)、それを含めて僕らとの挑戦を楽しんでもらえる会社なんじゃないかなと思いました。
―グロースパートナーシップは、企業とアーティスト双方にとって新しい形のパートナーシップです。そこに不安はありませんでしたか?
それはもちろんありました。ただ、パートナーシップを結ぶ前に、メンバーを含めて何度も何度も話し合いをさせていただいたんです。その時にBirdmanの社員の方がとても真摯に向き合ってくださって。
正直なところ不安な点が全て解決したわけではなかったですし、お互い初めてですから、後からこうじゃなかった、ああじゃなかった、というのは出てくるだろうとは思いました。でも、そうなった時にも、きちんと話し合って乗り越えていける人達だなと感じたんです。不安もあるけれど、それを上回るほどの新しい挑戦が一緒にできそうだという気持ちが大きかったですね。
―Birdmanと走り出して、約5ヵ月が経ちましたが、いかがですか?
いやー大変です(笑)。でも別に何が悪いとか、問題が起こっているとかではなくて。いわゆる芸能事務所であれば、アーティストを世に出していくためのフォーマットがすでにあって、その通りにやっていくものですが、僕らとBirdmanのパートナーシップにはそれはありません。トライ&エラーを積み重ねながら日々過ごしていて、それは大変だけれど、すごくやりがいがありますね。
先日公開されたインタビューで、伊藤さん(取締役 EX事業本部長)が、「7ORDERは個性がありすぎてグループのカラーが白になってしまう。クライアントにアピールする時に難しい」と言っていましたけど、僕自身もそうだなとは思うんです。ボーイズグループ、バンドなど、はっきりしている方がお仕事をしやすいですもんね。
実際、僕ら自身も「7ORDERってなんだっけ。ダンスグループ?いや、違う。でもバンドっていうのも違うな」と何度も立ち返って考えていたんです。Birdmanと出会う前にも、色々な方とお話をしてアドバイスをいただいてきましたが、皆さんこうおっしゃるんですよ。「何をやるグループなのか決めた方がいい」って。それは本当にそうなんだけれど……僕たち、人を喜ばせることならなんでも、本当にいろんなことをやっていきたいんですよね……。
でも、伊藤さんや他にも僕らに関わってくださるスタッフの皆さんと話すなかで、最終的に「決めなくていっか!」となりました(笑)。それは、単純にやることも2倍、3倍に増えますから、大変なことはわかっています。でも、それを認めて、一緒に踏ん張ってくれる人たちがいるこの環境は、芸能事務所と所属タレントの関係じゃない、グロースパートナーシップだからできること。 エンタメ業界における新たなルールブックを僕らとBirdmanで作っていけたらいいなと思います。
Birdman取締役 伊藤統彦(EX事業本部長)のインタビュー記事はこちら
“僕らならでは”のアイディアをBirdmanと掛け合わせて
―Birdmanとのシナジーを発揮した仕事の一つに、12月に始まったサービス「さわれるライブ ® 5D LIVE®」のティザー映像出演があります。完成した映像を見た感想は?
いろんな技術が組み込まれていて、すごく面白いですよね。最近こういった映像はすごく増えてきましたが、5D LIVE®が面白いのは、これをリアルタイムでできるということ。素晴らしい技術力だと思うので、どう使ったらより面白くなるかっていうことを、僕らでも考えていきたいです。
ティザー映像では、サービスをわかりやすく見せるためにライブパフォーマンスをさせていただきましたが、もし僕たちが使わせていただく場合は、例えば、ライブにこだわらなくてもいいんじゃないかなとも思います。なんたって、視聴者の方と、インタラクティブなコミュニケーションができるというのがこのサービスの魅力ですから。
―もし7ORDERで「5D LIVE ®」を使うとしたら、どんなことができそうですか?
なんだろうな……例えばですけど、サミットみたいな使い方は面白そうですね。映画『サマーウォーズ』の世界みたいなイメージで、僕らもファンの方もアバター化して会議をするんです。僕らが「次はアコースティックコーナーとダンスコーナー、どっちがいい?」と聞いて、ファンの方に挙手して意見をもらったり多数決をとる。「OKじゃあ、次はアコースティックの部屋にいきます」と言ったら、僕らがドゥルルルンっとリアルの姿に戻って、空間もライブ仕様に変わって!
個人的なティザー映像を見た感想でいうと、メンバーの阿部顕嵐の体がCG化していくところに一番テンションが上がったんです。人間が人間じゃなくなったり、また人間に戻ったり。それをリアルタイムで自由自在に空間を行き来できることが魅力だと思うので、それを生かすライブができたら面白いなと思います。
―これからBirdmanに期待することは?
オフィスにいる全員と仲良くなって、ツーカーの仲になりたい!Birdmanの社員は個性豊かな人が多いと聞いているので、もっと皆さんのことを知りたいですね。写真撮影がプロ並みに得意な人がいたり、ギターを自分で作れる人がいたり、コーヒーを淹れるのが得意な人がいたり……
―3Dプリンターを個人で所有して、いろんなものを作っている社員もいるんですよ。
えー、面白い!そうやって仲良くなって、「こういうことをやりたいから何階の〇〇さんに頼んでみよう」「この件なら〇〇さんが詳しいから相談してみよう」とすぐにコミュニケーションできる環境こそが、僕がBirdmanに求めていることです。
逆に社員の方からも「7ORDER、ちょっとアイディアちょうだい」と声をかけていただけたら。もっと7ORDER×Birdmanを密にしていきたいと思っているので、この記事を読んで安井面白いな、と思った方は僕に連絡をください(笑)。クリエイターの方々とメンバーとのコラボをきっかけに、新しいアイディアやプロジェクトが生まれていく可能性もありそうです。
最初に地域活性に携わりたいと話しましたが、まずはBirdman社内からですね。そして、このオフィスビルがある商店街の皆さんも巻き込んでいって、このオフィスを渋谷のフラッグシップのような存在にしていくのも面白いんじゃないかと思います。
エンタメの現在と未来
―コロナ禍をきっかけに、エンタメ業界にも様々な変化が訪れています。安井さんは今のエンタメ業界についてどう感じますか?
スマホ一つで世界に発信できるという意味で、20年前、30年前からしたら、とんでもなく良い時代ですよね。今回のコロナ禍で、エンタメのDX化というのがあちこちで進んでいて、それはすごく素晴らしいことだと思います。その一方で、真逆のこともきちんと大切にしていけるグループでありたいなと思います。
僕は演者としてではなく見る側としても、エンタメは音楽や映画などどんなジャンルも好き。いろんなものが好きだからこそ、自分がジャンクになるのが怖いんですよね。例えば家で配信サービスで映画を見てて、ちょっと寝ちゃったとか、スマホの通知がきたからつい見ちゃって集中できなかったとか……皆さんも経験があるんじゃないかな?
だから最近は、あえて映画館に一人で行くようになりました。2時間何かに没頭するっていう時間を大事にしたいなっと思って。ちょっと古い人間なのかもしれないですけど(笑)。
最近「制限のなかでやるのがエンターテインメント」っていう言葉を聞いて、それがすごく好きなんです。
例えば「予算10万円でライブを作ってください」と言われたとして、「この中でどうやって面白いことをしよう?」と必死に考える、この脳の回転がエンターテインメントの原動力じゃないかな。だって10億円でライブ作ってくださいっていわれたら、とんでもないものができますよ(笑)。お金に限らずですけど、制限があるから考えるし、思考を回すし、そのなかで人を楽しませる、工夫するから、素敵なものができるんじゃないかな。
便利なものはどんどん便利になっていいし、エンタメもそうなんですけど、昔に比べて手軽に触れられるようになったからこそ、リアルで触れた時の感動というものは知っていてほしいですし、エンターテインメントには血が通っていてほしいなと思います。
Birdmanのプロジェクト事例やクリエイターインタビューなど、紹介します。