制作の裏側を聞きました!「さわれるライブ® 5D LIVE®」って、何が新しいんですか?<前編>

オンライン上に作られた仮想空間、バーチャルワールド。アーティストによるライブ配信を始め、他者との交流の場(メタバース)として、eコマースのプラットホームとしてなど様々な広がりを見せています。

近年世界中で話題を集め、様々な企業がサービスを開発しているこの市場に、デジタルテクノロジーやクリエイティブ領域で活躍するBirdmanも参入! 

開発に乗り出した経緯や、Birdmanオリジナルのサービス「さわれるライブ® 5D LIVE®」の注目ポイントを、制作に関わったメンバーにインタビューしました。

「Birdmanとして作りたい世界観」を表現しました

宮坂雅春 MASAHARU MIYASAKA

執行役員 / DIRECTOR / PRODUCER

クリエイティブブティックでコピーライターとして主にブランディングに、その後ビジネスマン向けメディア事業会社にてコンテンツ開発を経験し、2018年よりBirdmanに参画。経営企画室本部長/ディレクター/プロデューサーとして、広告・ブランディングから事業開発・プロダクト開発に携わる。


―近年世界中でバーチャルワールドのプラットフォームが開発されています。ここにBirdmanが参入した経緯を教えてください。

新型コロナウイルスの影響もあり、バーチャルワールドというもの自体が僕らのなかで非常に身近になりましたよね。実際クライアントからも「次のプロモーションでバーチャルワールドをやりたい」というリクエストを沢山いただいたんですよ。Birdmanが開発した事例でわかりやすいものとしては、『BEER iLAND』(サントリーホールディングス株式会社)。もともとリアルで行っていた工場見学を開催するのが難しい世の中になったので、バーチャル上で「ザ・プレミアム・モルツ」の工場見学を行えるようにしました。

実際、こういったバーチャル見学会、バーチャル展示会、みたいなものは、世の中に沢山あるんです。価格が安いものもあれば、高いものも……いわばピンからキリまであるなかで、Birdmanとして、そのバーチャルワールドのニーズに応えようというのが参入理由の一つ。もう一つは、Birdmanとしてやるのなら、こういう世界を作りたいというものを世の中に発信するために「さわれるライブ® 5D LIVE®」として、形に見えるプラットフォーム化したというのもあります。


―「さわれるライブ® 5D LIVE®」のコンセプトや特徴、他のサービスとの違いは?

バーチャルワールドにおいて新しいものを提示したい、という思いがあるなかで辿り着いた特徴が「さわれる」こと、そして「ライブ」であることですね。

「さわれる」というのは、例えば自分でデバイスの画面を操作して、自由な視点でそのコンテンツを楽しむことができるとか、画面をタップすることで、映像のなかに花火が上がる、スモークが焚かれるといった演出に参加できるーーこういった「さわれる」体験ができること、そしてそれを今まさに生配信されているライブコンテンツで楽しめるという組み合わせは、世の中にほとんどないんです。(2021年12月時点)そこを両立することで、Birdmanが考える新しいバーチャルワールドのアプローチができると考え、こういったコンセプトになりました。



他にもARでステージを自分の部屋にしたり、演者の着ている服をそのまま購入できたりと、様々な「さわれる」仕掛けが可能に (https://5dlive.birdman.tokyo/より)




―サービスのなかで、特に“Birdmanらしい”点は?

二点ありまして、ひとつは技術です。ローンチ時に公開したティザームービーでは、ボリュメトリック撮影という、360度カメラで人物を撮影して立体CGにしてストリーミングする想定で制作しました。ただ、バーチャルワールドを作るに当たっての技術的なアプローチは他にも結構色々あるんです。コンテンツに合わせて技術を変えて自分達で制作したり、パートナー企業と一緒に制作したりして、特定の技術に囚われずに実現することができることですね。

もう一つは、デジタルクリエイションのクオリティですね。才能豊かなクリエイターが在籍しているので、背景となる映像にCGを使ったりアニメーションを制作したりと、自分たちで、しかも非常にハイクオリティに作れる。


―パートナーとは、サービス開始にあたり、業務提携を結んだソフトバンクグループのリアライズ・モバイル・コミュニケーション株式会社ですね。

リアライズ・モバイル・コミュニケーションとは以前からクライアントワークでご一緒する機会があり、彼らのボリュメトリック撮影の技術に我々の企画力・デジタルクリエーションを掛け合わせてシナジーを生み出し、新しい世界を作りたいと思ったのが5D LIVE®のコンセプトにたどり着いたきっかけだったんですよ。


―サービス発表までの企画・制作期間は非常に短かったと聞いています。プロジェクトを進めるなかで困難だったことはありますか?

扱おうとしている技術自体が非常に新しく、まだ一般化されていないものなんです。ボリュメトリック撮影自体が新しいものですし、そこで撮影したデータは非常に大容量。リアルタイムで配信するためには、データをどう処理したらいいだろう……など、まだ実現されていない技術を実現させるための検証ですね。

今我々が思い描いているクオリティのものを、本当にきちんとユーザーが気軽にパッと楽しめるようなものにする。これをフィジビリティと言いますが、そこが困難で、何度も検証を繰り返しましたし、現在もより良くするための課題として取り組んでいます。

もちろん不可能ではないからこそやっているのですが、ユーザーにとって快適なサービスにするためには、様々な工夫が必要です。それをどこまでユーザー目線に立ってサービスに落とし込めるかが、他のバーチャルプラットフォームとの差別化になっていくのだろうと思います。


―サービス発表後のクライアントからの反応はいかがでしたか?

最初にお話ししたように、バーチャルワールドは既に世の中にたくさんあるんですね。でも、「さわれる」「ライブ」というコンセプトに今までのバーチャルワールドにはない新しさを感じていただけたようで、「それってどういうことですか?」「うちのブランドとどんなシナジーが起こせますか?」と関心を持っていただいています。まだ公表できませんが、既に実際に制作の相談を進めているものもありますし、有名イベントとのコラボのお話なども出ています。


―まだまだ新しいサービスですが、将来像はどんな風に描いてますか? 

既存の産業にテクノロジーを掛け合わせることを、x-Tech(クロステック)といいます。教育のEducationとTechnologyでEdTech(エドテック)、広告のAdTech(アドテック)、健康管理などのHealthTech(ヘルステック)……そしてまだまだ小さい領域ですが、FanTech(ファンテック)というニーズもあると思っています。

これは要するに、アーティストやスポーツチーム、タレントと、そのファンの方との繋がり、コミュニケーションを発展させるためのテクノロジーです。オンラインの配信でもそうですし、リアルの会場にいても、5D LIVE®を使うことで今自分が座っている席とは違う角度のカメラの映像も同時に楽しめるなど、例えステージが遠くても存在を近く感じさせることができるような、新しいファンコミュニケーションを実現できたらいいなと思います。5D LIVE®はこのFanTechを代表するテクノロジーとして育てていきたいと思っています。

さわれるライブ® 5D LIVE®についての詳細はこちらもご覧ください