日本の大手食品企業やD2Cのブランディング事例から学ぶ!時流に合った食品ブランディングとは?

これまでの食品ブランディング【大手食品メーカーの事例】

食品ブランディングとは、食品の品質や機能といった機能的価値と消費者に良いイメージを持ってもらう情緒的価値の双方の面からイメージを構築し、消費者に訴えかけるための戦略的なプロセスです。商品の差別化につながり、市場での競争力アップなどのメリットがあります。

具体的な事例として、食品ブランディングを通じて数十年にわたり成功を収めてきた大手食品メーカーをご紹介します。

味の素株式会社

味の素株式会社は、うま味調味料の「味の素」で有名な日本の大手食品メーカーです。

近年では、優れたブランディングを実施している企業、団体、事業、およびサービスを表彰する、株式会社インターブランドジャパン主催の「Japan Branding Awards 2022」にて「Best of the Best」賞を受賞した実績があります。

味の素株式会社の成功要因は、ドレッシング市場に参入した際に、自社の強みを生かしたブランディングに取り組んだことです。

ただのドレッシングではなく、肉入りサラダを食べたような美味しさを提供する機能的価値と、インテリアのような食卓に置いておきたいオシャレなデザインである情緒的価値を追求しました。

その結果、これまでにないドレッシング市場を開拓し、消費者に新しいイメージと体験を届けることに成功したことで、新たなシェアを獲得できました。

昨今の食品に対する消費者意識や行動は?フードロス削減やSDGs

昨今、食品に対する消費者意識や行動には変化が生まれています。特に「フードロス削減」「SDGs」「健康意識」の3つのキーワードが注目を集めているため、詳しく解説していきます。

フードロス削減

フードロス削減とは、食べ物の無駄を無くす取り組みのことで、食品の無駄な廃棄を減少させ、持続可能な食品供給システムの構築を目指していくことを指します。

現状として、食品ロスは世界中で大量に発生し、貴重な資源の浪費や環境への負荷を生み出しているため深刻な問題となっています。一方で、食品不足が依然として存在していることからも、飢餓問題の解決に向けて食品ロスの削減が不可欠です。

賞味期限切れの食品を有効活用する方法など、様々なフードロス削減のための取り組みが注目されています。

SDGs(Sustainable Development Goals)

国際連合が掲げるSDGsにも焦点が当てられています。
SDGsは、持続可能な開発目標とも呼ばれ、2015年に国際連合で採択された国際的な枠組みです。

世界の持続可能な発展と改善を促進するための17の具体的な目標から成り立っており、2030年までに達成されることを目指しています。

その中でも食品に関連する目標は多く、世界中の飢餓を減少させるために食品供給の増加や食料安全保障の向上に貢献する「飢餓の撲滅」、また、食品ロスと廃棄物削減に取り組み、資源の無駄を減少させることを目指す「食品ロスと廃棄物削減」などが挙げられます。

このようなSDGsの影響もあり、環境への負荷を低減し、社会的に責任を果たすブランドを支持する消費者は増加傾向にあるでしょう。

健康意識

健康への意識が高まり、消費者は健康に配慮した食品を選ぶ傾向が強くなってきました。

低糖質、低塩分、有機、自然食品などが注目され、食品メーカーはこれらの需要に応える製品を開発し、ブランド化しなければなりません。

コロナ禍を経て変化した食品ブランディングとは?食品D2Cと今後の需要

コロナ禍を経て食品ブランディングは変化しました。ここで新たに注目されたのが「D2Cビジネスモデル」です。

D2Cビジネスモデルとは、メーカーが消費者に直接商品を提供し、小売業者を介さずに販売するモデルのことです。

このモデルが浸透したことで、ブランドと消費者の直接的な関係が強化され、消費者のニーズに合わせた製品を提供することがより簡単になりました。

その他にも、消費者一人ひとりごとに製品のカスタマイズができる点、価格設定の柔軟性、消費者データの収集が可能になり、消費者の好みや需要をより正確に把握し、製品を改良できるようになりました。

また、小売業者を介さないため、価格競争力を維持しながら、直接的な顧客関係を築くことができる点も大きなメリットとして挙げられるでしょう。

一方でデメリットとして挙げられるのは、直接販売するために必要なウェブシステムの構築や物流体制の整備が必要な点になります。

これには大きなコストがかかることや小売業者を介さないため、広告やマーケティングの負担が増加し、競争が激化してしまいます。

消費者の信頼を築くのに時間がかかるため、初期段階では売上が伸び悩むこともあるでしょう。

食品ブランディングをする際のポイントや手順

これからの食品ブランディングにおいて、重視するべきポイントとブランディング構築の手順を解説します。

食品ブランディングを行う際には「ブランドのアイデンティティの明確化」「ターゲット市場」「競合分析」の3つがポイントになります。

まず、ブランドのアイデンティティやバリューを明確にすることで、何を提供し、どのような価値を消費者に提供するのかがわかりやすくなります。これにより、ブランドの独自性が強調されるでしょう。

次に、どのような顧客層をターゲットにするのかを決定し、その顧客のニーズや要求を理解し、競合分析を行うことで差別化ポイントを見つけられます。

このように、市場における独自性の発揮は、食品ブランディングを成功に近づけることができることが分かります。そこで、食品ブランディングの手順を分かりやすく解説していきます。

手順1.ブランド戦略の策定

ブランド戦略を明確にし、ブランドのビジョン、ミッション、バリューを定義することで、ブランドの基盤を構築します。

手順2.ブランドアイデンティティの設計

ロゴ、パッケージデザイン、スローガンなど、ブランドのアイデンティティを設計します。視覚的な印象を形成することで、ブランドが識別可能な状態になります。

手順3.マーケティング戦略の実行

選定したマーケティング戦略を実行し、消費者にブランドをアピールします。

広告、プロモーション、ソーシャルメディアキャンペーン、コンテンツ制作など、適切なチャネルを活用してブランドメッセージを広めていきましょう。

消費者の関心を引きつける魅力的なコンテンツが提供できれば、ブランドの知名度を高めることができます。

手順4.フィードバックと改善

ブランド戦略の実行後、消費者からのフィードバックを積極的に収集しましょう。
消費者の意見や要望を真剣に受け止め、製品やサービスを改善するプロセスを確立します。

また、フィードバックを通じてブランドの進化を継続的に行うことで、市場に合った製品を提供し続けられる効果も期待できます。

手順5.持続的なブランド管理

一度築いたブランドは、持続的な管理と維持が必要です。ブランドの一貫性を保ち、品質を維持し、消費者に対する信頼性を高めるために、定期的な監視と調整を行いましょう。

そのためにも、常に新たな市場トレンドや競合状況を把握し、ブランドを長期的に成功に導くための努力を惜しまないことが重要です。

D2Cモデルを利用した食品ブランディングの成功事例

続いて、D2Cモデルを利用した食品ブランディングの成功事例を紹介します。

オイシックス・ラ・大地「Oisix+クレヨンしんちゃん」

オイシックス・ラ・大地では、安全性に配慮した有機・特別栽培農産物や添加物を極力使わない加工食品などをインターネットで販売し、自宅に届ける食品宅配サービスを展開しています。

オイシックス・ラ・大地は、あの有名なクレヨンしんちゃんとコラボし、食品ブランディングを成功させました。

埼玉県の春日部駅で「クレヨンしんちゃん」とのコラボをした交通広告を出稿したところ、X(旧Twitter)で拡散され、Yahoo!トピックスやテレビなど多くのメディアで取り上げられました。

この広告は、食品宅配サービスのブランド価値を高めるコミュニケーションとして企画され、夏休みが終わる時期に、お母さんたちに感謝の気持ちを伝えるコピーとともにリリースされました。結果として、多くの反響を生み、サービスの利用者アップにつながりました。

この戦略により、「Oisix(オイシックス)」は手軽さ以外の要素を強調し、サービスのイメージを改善する成功を収めました。

オイシックス・ラ・大地の交通広告の事例はこちら>>

Nestlé「VALENTINE POST」

Nestléの「キットカット」はバレンタインデーの多様化に対応し、新しいサービス「バレンタインポスト」を導入し、ブランディングに取り組みました。

このサービスでは、FacebookやX(旧Twitter)アカウントを使用して友達にバーチャルなチョコを簡単に贈ることができます。

バーチャルチョコを贈ることで、本物のキットカットショコラトリーなどのチョコをもらえるチャンスも提供され、遠くの友達や特別な人とバーチャルチョコを通じてコミュニケーションを楽しめるという面白さが生まれました。

Nestléのバレンタインポストの事例はこちら>>

食品ブランディングに関する相談なら株式会社Birdmanへ

自社だけで食品ブランディングを進めるのは難しいため、経験豊富な専門家の知識やノウハウを活用することをおすすめします。

本記事を執筆している株式会社Birdmanは、食品業界でのブランディング戦略の立案からデザイン、マーケティングまで包括的なサポート実績もあり、世界的に有名な賞やアワードで400以上の受賞実績があります。

食品ブランディングを成功に導くためにカスタマイズされたアプローチを共に考え、実現させるお手伝いができるため、ぜひご相談ください。

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