制作の裏側を聞きました!「さわれるライブ® 5D LIVE®」って、何が新しいんですか?<後編> 

「さわれるライブ® 5D LIVE®」のサービス発表と同時に公開された映像。Birdmanとグロースパートナーシップを結ぶ7ORDERが出演し、SNSでも話題を呼びました。その制作ディレクションを担当したのが、MOVIE本部の竹内さんです。


いいものを作るために、担当分野を超えていく

竹内 冠太  KANTA TAKEUCHI

執行役員 / MOVIE 本部長

東京外国語大学を卒業後、慶応メディアデザイン研究科(KMD)修了。 リクルートライフスタイルにてwebディレクターとして新規サービスの立ち上げに関わった後、2014年BIRDMANにジョインし、2017年からデジタルディレクターとして活動。他にもCGを中心としたモーショングラフィックス、映像制作のほか、フォトグラファー/ビデオグラファーの顔を持つマルチクリエイターとして幅広い案件を手掛ける。


―竹内さんはさわれるライブ® 5D LIVE®のサービス企画から携わり、サービスイメージ動画のディレクションを担当されました。

企画段階では、まず5D LIVE®で可能になる「未来のインタラクティブライブ体験」というのが、どういうものになるだろう?と、UX(ユーザー体験)を意識しながら、ビデオプロトタイピングをするようなイメージで自由に構成に落としていきました。

実際の映像制作では、映像のディレクションを担当。具体的に言うと楽曲のセレクトから始まり、各シーンのカット割り、出演者である7ORDERがどういう動きをするか、カメラワークはどうするかという演出、それから背景となるCGの制作ディレクションを行いました。

今回は7ORDERのライブ演出をされている方にも協力していただいて。僕が音楽はこういう尺で、こういう展開で使いたいという提案に対して1週間くらいで振り付けを考えてくれたので、そこから7ORDERのメンバーとアイディアをすり合わせつつ作りました。


―制作する上でこだわった点はありますか?

サービスとしての5D LIVE®は、実際にはボリュメトリック撮影を活かした体験に限らず、様々なインタラクティブなライブ体験を広く包含したコンセプトとして構想してます。ただ、このムービーに関しては、その中でもボリュメトリック撮影のライブ配信をどれだけ魅力的に見せられるか、ということを考えて制作しました。

視聴者にとって既視感がないような外観を作ることを意識したり、SNSやeコマースとの連携、360度視点を変えられる機能などをできるだけ説明的にならず映像としても楽しめるものにしたり。




―ご自身で特に気に入っているシーンは?

曲の中で個人的にお気に入りの振り付けがあるんです。両手を頭の横に上げて、手を回しながら横に引っ張るみたいな動きで、気に入りすぎて家でもずっとその動きをしたりしてたんですけど(笑)、そのシーンに思い描いた通りのエフェクトを載せることができたのは個人的なお気に入りポイントです。

あとは、メンバーが部屋の中で踊ったかと思いきや“精神と時の部屋”のような抽象空間で踊るなどシーンの展開も、既視感のない独特な感じが出せたかなと思っています。

―そういった面白い映像のアイディアはどこから生まれるんでしょう?

この映像に限らず、新しい世界観を作るような案件を担当することはよくあるんです。そういったなかで、引き出しと言いますか、世界観の幅出しはなんとなく頭の中にいつもあって……そこから引き出している感じでしょうか。

さわれるライブ® 5D LIVE® ローンチ時に公開されたムービー



―映像制作の過程で、もっとも難航した点は?

ダンスシーンの撮影データの扱いに苦労しました。今回は、ボリュメトリック撮影という現実の空間や場所、人やその動作などを3Dで連続した情報として撮影する手法を使ったのですが、通常そのボリュメトリックで撮影したデータは3Dソフトで読み込めない特殊なデータになるんです。

しかし、各シーンのダンスの背景は3Dソフトで作っているため、どうにかメンバーのダンス映像も扱えるようにして、一つの映像として演出したかった。結局、3Dソフトで読み込めるようにするための特殊なスクリプトを自分達で書くことにしました。これによって、ボリュメトリック撮影したダンス映像を扱えるようになったんです。

ムービー撮影に臨む7ORDER


―今回のプロジェクトにMOVIEチームはどのような体制で臨まれたのでしょうか。

CGデザイナーの奥口さんは昨年11月に入社したばかりですが、この映像のビジュアル部分をほとんど作ってもらいました。各シーンのライティングを設定して世界観を演出をしたり、最終的に映像としてまとめるところを行ってもらったり。

西間木さんには各シーンの背景やオブジェクトのモデリング、そしてボリュメトリックで撮影したメンバーの膨大なダンスデータの調整や前述のスクリプト開発など。植村さんには、ユーザーインターフェース、画面の手前に出てくるモーショングラフィックスを担当してもらいました。

ムービーチームのメンバーは、それぞれの得意分野がわりとはっきり分かれています。得意なところを得意な人に担当してもらいつつ、それだけだと得意なところだけをやることになってしまうので、自分が得意分野として持っていることをベースに、そこからスキルの幅をストレッチできるように考えて担当を割り振りしています。

今回は実写撮影の他に、新しい技術であるボリュメトリック撮影も行っていますし、業務提携しているリアライズ・モバイル・コミュニケーションとのデータ連携をする上でも、受け取ったデータをスムーズに映像化するために、結構難しいプログラムを書いたりもしています。それぞれ得意分野がある上で、いいものを作るためならそれぞれの担当分野を超えていけることがBirdmanのMOVIEチームの強みかなと思います。



さわれるライブ® 5D LIVE®についての詳細はこちらもご覧ください