玉塚さんは兎にも角にも「かっこいい大人」です。
「こんな大人になりたい」ランキング、僕(牧野)の中でぶっちぎりの一位を走っている。背が高くて、体はガッシリと鍛えられていて、清潔で美しくスーツを着こなしている。誰に対してもフラットで、優しく、温かく接してくれる。その証拠に、僕に会うたびに、
まきちゃん、元気か〜
と話しかけてくれる。もし、怖い人だと思われてる方は、今のうちにイメージを変換しておいてほしい。
1962年生まれ慶應義塾大学卒業。旭硝子、日本IBMを経て、98年ファーストリテイリング入社、2002年社長。実に40歳の頃にユニクロの社長に就任しているのだ。その後、「事業再生会社 リヴァンプ」を設立(コールドストーンやクリスピークリームドーナツなどを日本で展開した会社だ)。2014年ローソン社長、16年に会長を務め、17年5月に退任している。今はデジタルハーツの代表であり、ラクスルやエードットの役員に就任されている。
エードット(代表 伊達)の取締役についていただいていることは(僕が言うのもなんだが)意外なことだ。そして当たり前だけど、僕たちにとって本当に大きな意味のある出来事だった。なぜ玉塚さんはフラットに若者を応援してくれるのか。玉塚さんの夢は何なのか・・・そのパワーに少しだけ迫ります。
いきなりですけど、玉塚さんは、なぜエードットの役員になってくれたのでしょうか。お会いして数回目だったと思うのですが。
僕は、ファーストリテイリングや、ローソンにもいたからマーケティングやコミュニケーションの重要性は知っているつもりだし、ますます重要になってきていると感じてました。メディアも多様で複雑になってきているし、消費者も様々だから。ものすごく多面的になってきている社会環境の中で、マスメディア依存ではなく、的確なマーケティング・ソリューションを提供できる企業の存在というのは非常に重要だと問題意識を持っていました。
そんなときに伊達さんとお会いして、会った瞬間から「そういった新しい広告会社を作っていく必要がある」っていうことをおっしゃっていた。僕自身、事業家としてとても必要なファンクションだと思っていたから、少しでもお手伝いして何か貢献できるんだったらと思ってジョインしました。
最高の答えをもらってありがとうございます笑
本当のことですよ。
経営者の才能のひとつ「チャーミングさ」
そのときの伊達の第一印象はどうでしたか。
「かわいい」、かな。
かわいい 笑
真面目な話、やっぱりチャームっていうのは大事で、伊達さんはもちろんすごい頑張り屋だし根性もあるし厳しいときもあるだろうけど、親しみやすかったり何かしてあげたいみたいなズルいオーラをもっていた。
ありがとうございます笑
それ、すごく大事なことだと思う。若くして事業を立ち上げて上場して、ここからさらに成長していこうとすると、自分1人で出来ることって実際やっぱり限界があるから、とにかく色んな人の力や色んな人の才能を巻き込みながら、大きいものを作っていこうってときに、すごくキャラクターとして幸運なものを持ってる人だと思う。
それは経営者にとって大事な要素でしょうか?
エードットの商売においてはすごく大事だと思う。だっていくら優れたソリューションを持っていても、やっぱり最後は「君たちと一緒に気持ちよく仕事したいな」と思ってもらえることがすごく大事じゃないですか。
僕もたくさんの成功してる経営者にあってますけど、どっかで人を惹きつけるし「この人がいるんだったら一緒にやろう」って思えるものがないと、中々拡大していかないよね。
逆に、伊達さんは玉塚さんにお会いしたときの印象や、入っていただいてからの印象はいかがですか?
もともとテレビ画面の「向こう側の人」だったから、初めてあった時はおーって驚きでしたね。だけど、偉そうとか全くなく、ものすごくフラットに接してくれて、フラットに判断をしてくれる人だなんだと、また驚きました。立場とか常識だとかを気にせずに良いと思ったら応援してくれるし、指摘をしてくれます。
具体的には、まず取締役会の状態が劇的に変わった(よりよくなった)し、厳しいことも、その度に指導をもらえるようになったんです。経営してる中で一番の「兄貴」と思える玉塚さんと、こうしてご一緒できてとにかく嬉しいですね。
なぜ、玉塚さんは、若い人たちを応援するのか。
玉塚さんは今、ラクスルのような若いベンチャー企業の役員をされることが多いと思うんですけど、そういった応援したくなる会社が多いものですか?
僕は意図的に若い人と付き合おうと思ってるんだよね。だから伊達さんから「フラットだ」と言われるのはとてもありがたい。
みんな立場関係なく一人一人一生懸命生きてるし、一生懸命仕事してるじゃないですか。コンビニのレジで一生懸命接客をするクルーさんはクルーさんなりの色んな考え方や、困ったことがあって、店長には店長なりのことに向き合ってて、加盟店のオーナーさんはオーナーさんなりに向き合ってるし、おにぎりの開発担当はおにぎりのことで悩んでいる。そういう意味ではみんなプロじゃないですか。
だから、僕は仕事は「役割」だと思っていて、「役職」じゃないと思っている。「社長」だって役割でしかなく、僕はおいしいおにぎりを開発することはできないけれども、全体を見てビジョンをうち立ててコーディネーションしていくみたいなところが役割になる。
その役割を全うしているに過ぎなくて、それぞれの役割の人に対して敬意を表してフラットに話していかないと、大事な情報も取れないし正しい意思決定ができない。もしかしたらそれがもういい歳だし、癖になっちゃってるからそういう風に感じていただけるのかもしれない。
すごいですよね。だってこれだけ有名で、これだけの実績もある方って、普通そういう風にならないと思うんですよね。僕が見た中ではダントツでナンバーワンです。
僕はね、「勘違いする」のとかそういうのってホントに怖いんですよ。 例えば講演とかの依頼をもらうんだけど、基本的に受けないようにしていて、なぜかっていうとそれ(勘違いすること)が気になってしまって・・・偉そうに話しているとなんか自分がデキてるような感じになってるんだけど、まだ全然デキてねえじゃんみたいなことを考えるんですよ。
やっぱり喋んなきゃいけないからリーダーはこうあるべき、とか。今もそうだよね、偉そうに話してんじゃん。話しながら「お前ホントにそれデキてるのかよ」っていつも思ってて、やっぱり勘違いするのがすごい怖い。
勘違いするのはダサいよな。かっこ悪いよなって、僕は思う。
玉塚さんはもう勘違いではないような気がしますけど。。。
でも玉塚さんのことなので、やっぱりまだまだこれから、という思いですか?
もちろん。ましてや今なんて全く新しい「デジタルハーツ」という会社にきてさ、毎回毎回そうなんだけど、知らないことだらけだし、みんなやっぱり社長の「お手並み拝見」するわけだしさ、面白くないって思ってる人たちもいっぱいいるわけじゃない。
でもそのなかでもデジタルハーツがどういう状態になってて、何が問題で、現場の人たちは何を考えていて、どこを変えていけば良い会社になるか、みたいなことを走りながら仮説を立てていくときには、ものすごいフラットに色んな人に入り込みながら事実を見つけにいかなきゃいけない。
だからそれは数字も事実だし、現場の人の声も事実だし、そういうことばっかりずっとやってきてるし、今はまさにそうだよね。
玉塚さんの、これからの夢って何ですか?
エードットのミッションが「夢を応援する社会を創る」なのですが、玉塚さんの今後の「夢」を教えてもらえますか?
経営者としてドンドン成長したいですね。それだけです。
やっぱり経営の仕事ってすごい難しいと思う。だけども、色んな財産とかいろんな要素を、有機的に統合しながら目標を決めて行動して、社会問題を解決したりとか、価値のあることを達成できるわけじゃない。
でも経営者1人では何もできなくて、ビジョンを語って、求心力をもって、それを達成しようという仲間を集めて。それを繰り返しながら、失敗もあり、成功もあり。失敗が多いけどね!社会に価値ある組織体を作って・・・僕はすごい価値ある仕事だと思うんですよ。
僕はそれが好きだし、たまたまそういう仕事をしている。社長の仕事を。だから挑戦し続けたいよね、元気な間は。たぶん70くらいまではやるんじゃないかな。そうするとあと少なくとも2,3社くらいは何かできるんじゃないか。
伊達さんは創業者だし、オーナーだから、今の会社ひとつで色んなこれから経験をしていくと思うんだよね。企業の規模が大きくなってきて、だんだん従業員の顔がわかんなくなってきたり、自分が今までコントロールしたチームのときは起きなかった事件が起きたり、混乱が起きたり。
そういうことに向き合いながら経営者として成長していくし、これからグローバルにも展開していって、そこで色んなことを学ぶだろうし、あるいはマーケティング領域だけど色んなチャンスがあるから、たぶん新しい事業にチャレンジしたりしてそれを通じてドンドン成長していく。
だから企業を成長させながら、経営者もどんどん成長していく。素晴らしいことだと思うんだよ。
玉塚さんは リヴァンプなので「0→1」を生み出すことも経験して、その後ローソンや、今のデジタルハーツで代表をされているのは、やっぱりそちらのほうが経営者として合っているというお考えなのでしょうか?
スタートアップも色々応援しているけども、ただ僕自身を客観的にみて一番貢献できるのは10を100にするところじゃないかと思うのね。0→1は繊密だし能力だけの問題じゃないから。そこで今からワーっとやるのは、それはそれでまたやるかもしれないけどね。
10→100の話に便乗しまして・・、ここからエードットが大きくなるにあたってやるべきこと、期待されてることってどういうところですか?
今のエードットってすごいいいと思うよ。若いし、伊達ちゃんがすぐ近くにいるし、目指そうとするゴールや、熱狂とかがちゃんとそこにあるし、みんなたぶん同じ方向を向いてる。ものすごいスピード感ある組織だから。
なんとかそれを残しながらも、自分たちよりもっと優秀な人材が入ってきて、もっと色んなことをドライブしてくる人材が集まってこれるような大きな組織にしていってほしい。
経営って永遠に矛盾との戦いなんだよね。だからものすごく柔軟にフレキシブルにベンチャースピリッツを持たなきゃいけない。一方で大きい組織としてマネジメントしなくちゃいけない。その矛盾を両方解決するのがまさに経営なんだよね。
同時にエードットとしての「技」を強くしなくちゃいけない。例えば、中国マーケットだったらエードットに頼もうとか、WEBのマーケティング領域だったらエードットだとか、やっぱり目に見えるキラッと光る技をたくさん作っていかなくちゃいけないよね。すべての企業においても、当たり前だけどね。
玉塚さん、本当にありがとうございました。玉塚さんの期待に添えるように、全力で走り続けようと思いますし、一緒に新しい価値を作れたらと思います。これからも宜しくお願いします!
玉塚さん、お忙しい中、ありがとうございました!
玉塚さんのようなかっこいい大人になれるよう、僕らも全力で走り続けていきますので、これからもどうかご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします!
玉塚さんの夢
経営者としてドンドン成長したいですね。それだけです。
<おわり>