企画とアイデアの違いとは? “企画立案のためのアイデア発想法”

皆様の中で、「企画力を高めたい!」「素敵なアイディアを思いつくようになりたい!」と思っている人は多いのではないでしょうか?

新商品のブランディングの方向性について検討 / 新規事業の検討 / 新たな販促企画の検討 / ユーザーに喜んでもらう為の企画の検討 などなど、皆様のお仕事上「企画」や「アイデア」が必要となってくる場面が多くあるかと思います。

エードットには、数々の企画を世の中に送り出してきた「クリエイティブディレクター」が多く在籍しておりますので、彼ら彼女らの知見を元に「企画立案のためのアイデア発想法」と題打ち、ノウハウをご紹介させていただきます。

企画とアイデアの違い

そもそも混同されることもある「企画」と「アイデア」にはどのような違いがあるのでしょうか?
Wikipediaではこのように定義されています。

アイデア(発想)とは、考え、着想、見解、思いつき、概念、想像力、理解のこと。

Wikipedia

企画とは、議論の過程の一つで特に単発的な新規の事柄を計画することや、その議論によって行われる催し物(イベント)。

Wikipedia

アイデアは「着想そのもの」であり、企画は「実行する為の計画を立てること」をさします。

今回は、adotのグループ会社、BIRDMANが手がけたクロックス社の「空中ストア『Flying norlin project』」を事例に挙げてみましょう。
(筆者の想像・仮説もあるので実際の戦略・目的とは異なる場合がございます)

BIRDMANのポートフォリオより抜粋
  • 「空中ストア」における企画とは?

    サイズや色が違う複数の商品が
    手の届かない所に陳列されていて、
    参加者が手元にあるタブレットで
    サイズや色を指定するとドローンが飛び立ち
    店員の代わりになって目の前まで届けてくれる。
    発売日を含む春休み中の4 日間、
    メディア招致も容易な六本木ミッドタウンで実施。
    予算約**円、準備期間は** ヶ月。
    テレビ含め** 媒体程度の露出を想定。


  • 「空中ストア」におけるアイデアとは?

    軽いスニーカーを、
    ドローンが店員の
    代わりに運ぶイベント。

このように、アイデアはあくまで企画のタネということになり、アイデアを元に実際に実現させる為の具体的な計画を詰めていく部分が企画となっていきます。

企画立案のためのアイデア発想法

アイデアのつくり方 ジェームズ・W・ヤング著

それでは、アイデアはどのように発想すれば良いのでしょうか?

何十年も前に完璧に定義した有名な人がいます。
名著「アイデアのつくり方」を書かれた「ジェームス・W・ヤング」先生です。

彼はこのように言っています。

アイデアは、
既存の要素の
組み合わせ以外の何ものでもない。

ジェームス・W・ヤング
「空中ストア」における「組み合わせ」

「空中ストア」における既存の要素の組み合わせを見てみましょう。

「とても軽いスニーカー」 × 「無人航空機ドローン」

当時はまだ現状ほどドローンが浸透してはいませんでしたが、それでもやはり企画自体は既存の要素の組み合わせだったと推測されます。

しかし、ただの組み合わせでは良いアイデアは生まれません。
「とても軽いスニーカー」 × 「疲れない」
「とても軽いスニーカー」 × 「持ち運べる」
など近い要素の組み合わせでは面白いアイデアは生まれにくいのです。

近い要素の組み合わせでは面白いアイデアは生まれにくい。

思い切って遠く離れているものから要素を借りてきて組み合わせた方が、面白いアイデアが生まれやすいです。
誤解を恐れずに言うと、「離れているものの掛け算で、だいたいの企画は面白くなります。」

遠く離れた要素の組み合わせで、誰も思いつかなかった新しいアイデアが生まれる。

「空中ストア」は、「とても軽いスニーカー」と「無人航空機ドローン」という離れた場所にあった要素を掛け合わせることによって面白いアイデアが生まれ、最終的に企画として成立しています。

効率的なアイデア発想ツール

アイデア発想にとても有名なツールに「マンダラチャート」と「ポストイット」があります。

■マンダラチャート

マンダラチャートは3×3の9マスで構成されるフレームワークとなります。
9つのマスの中心に根幹となるテーマ(A)を記載し、関連した要素(A – 1 〜 A – 8)を周りの8マスに記載します。

そしてそこで出てきた面白そうな要素(A – 8)を取り出し、今度はその要素を中心のテーマとして記載し、関連した要素(A – 8 – 1 〜 A – 8 – 8)を周りの8マスに記載してマンダラチャートを作成します。

ここで、最初のテーマとして決めていた「A」と、最終的に出てきた「A – 8 – 8」を比べてみると、自然と遠く離れた要素の組み合わせになっているのではないでしょうか?

「空中ストア」の場合のマンダラチャートのサンプル を(仮説ではありますが)書いてみます。

▼ 最終的にアイデアとして、元々離れていた要素の組み合わせ が生まれます。

「とても軽いスニーカー」 × 「無人航空機ドローン」

■ポストイット

こちらも有名な発想ツールになります。
とにかく「連想ゲーム」で思いついたことを一枚に一つずつ書き示します。
慣れてきたら同属性や中心となるテーマからの距離に応じて色分けができていくとよりアイデアの発想が捻ります。

書いたものを壁などに貼ることにより、自分たちの思考の広がりを視覚でも捉えることができ、脳の思考の広がりを誘発します。

■手書きの大事さ

是非、アイデアを発想する際には手で、紙に書き起こしてみてください。
思い巡ったことをすべて紙に書いてみてください。

タイピングは左脳、手書きは右脳を働かせると言われています。
面白いアイデアや企画を作るクリエイティブディレクターには鉛筆でノートにアイデアを書き起こす方が多くいらっしゃるように思います。

言葉の集め方、事象を知る方法

ここまで読み進めていただいた方の中には、こんなことを思う方もいらっしゃるかもしれません。

マンダラチャートやポストイットに書く言葉が思いつかない!

ご心配なく。
言葉の集め方、事象を知る方法についてもご紹介します。

ネット検索、テレビや新聞、専門書などを参考にしていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、こんな内容をご紹介させていただきます。

① カラーバス

「カラーバス効果」というものを聞いたことはありますでしょうか?

人は自分がみたいもの、普段から意識していること、自分ごととして課題感を持っているものに自然と目を向けてしまうという現象です。

そのカラーバス効果を利用して、
「今日は赤いものに目を向けよう」
「今日は自分が妊婦のイメージで出かけよう」
といった風に決めて1日を過ごしてみると、いつもと違った観点で世の中をみることができ、今までに知らなかった言葉や事象を知ることができるかと思います。

② 盗み見・盗み聞き

表現が悪いですが・・・。

こちらも同じく、手軽に自分の知らない言葉を集めたり、事象を知ることができたりする方法になります。

居酒屋でふとした時に周りのお客さんの話に耳を傾けたり、休みの日の散歩がてらベンチに腰掛け周囲の人々の話し声に耳を傾けてみてください。

きっと、その会話の中には自分の知らない言葉や事象が含まれているはずです。

③ 本を読む / フォトリーディング

図書館など本がたくさん読める場所に行き、「○○について調べよう」と目的を定め、その内容の記載がありそうな本の目次だけを読んで記載されていそうな箇所をひたすらピックアップしていってみてください。

短時間で多くの情報を自分の中にストックすることが可能です。
都内ですとおすすめの図書館は永田町駅の「国立国会図書館」になります。

④ ルーティーンから離れてみる

ご自身の日常の「ルーティーン」から離れたことをやってみてください。

「いつもと違う通勤ルートを使ってみる。」
「いつも使っているツールのもっといい性能のものがないか調べてみる。」

いつもの自分と違った行動を取ってみることによって発見する新たなものも意外に多いものです。

人は皆、知らないことを知った時が一番脳が働くと言われています。

まずは、知識の引き出しをたくさん作ってたくさんの情報を詰め込んでください。

シャワーを浴びている時や就寝前など、頭と心がリラックスするとドーパミンが放出され、日中仕事場や街中で見たこと、聞いたこと、考えたことを潜在意識下で勝手に整理してくれます。

企画の為のアイデアのタネの見つけ方、いかがでしたでしょうか。
まだアイデア出しや企画立案に慣れていない方は、アイデア出しなどのミーティングなどの機会に自信がなかったとしても是非、10案は出してみてください。

思いついたことは口に出してみて、あなたがベストと思う1案よりも、あなたが知っている10のことを他の人たちに共有してあげてください。

その”クセ”が身につくと、自然に日常的に情報をインプットし、遠く離れたものの掛け合わせで面白いアイデアを思いつくことができ、良い企画を立てていくことができるようになるかと思います。

今回ご紹介させていただいた『企画立案のためのアイデア発想法』、是非皆様も取り入れてみてください。

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※本記事は、弊社クリエイティブディレクター有川潤による社内向け講座『広告とかの基本の基をはなす会』の一部を抜粋して作成させていただきました。