CSR活動とは?CSRが重要視されている理由について
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が自らのビジネス活動を通じて経済的な利益を追求するだけでなく、環境や社会全体への影響を考慮し、それらの側面における責任を果たすことを指します。
これは、企業が持続可能な成長を実現しながら、地域社会や環境に対する負の影響を最小限に抑えるとともに、ポジティブな貢献を目指す考え方です。
このCSRの考え方が広まった背景として、2015年に国連が制定したSDGs(持続可能な開発目標)が挙げられます。
SDGsは、2030年までに経済、社会、環境の三つの側面での持続可能な開発を目指すための国際的な目標として設定されました。
この制定を受けて、持続可能な開発目標への注目度が高まったことで、各国の政府や市民団体をはじめ、多くの企業がCSR活動を取り入れる動きが加速しました。
特に日本においては、2000年代初頭から大手企業を中心にCSR報告書を公表するようになり、それをきっかけに中小企業を含む多くの企業が、CSRの考え方を取り入れてビジネスを行うようになりました。
実際に日本の上場企業の中で、CSR報告書を公表する企業の割合は、2000年代初頭にはわずかながらも存在していましたが、2020年代に入るとその数は大幅に増加し、多くの企業が持続可能な開発に向けた取り組みを行っていることが分かります。
CSR活動を導入するメリットや価値とは何か
CSR活動を導入するメリットは「企業の視点」「利害関係者の視点」「社会全体の視点」という3つの視点から説明することができます。
企業の視点
CSR活動を通して、社員間で共通の目的や価値観を共有することで組織の一体感を高めると同時に、社員の参加を促すことで社内のコミュニケーションが活発化し、組織風土や社内文化の改善につながります。
さらに、これらの取り組みは企業の社会的評価を高め、ブランドイメージを向上させる効果が得られるでしょう。
つまり、CSRの実施は地域社会やNGO、その他の関係団体との強固な関係を築き、企業のリスクを低減させる役割も果たしていることが分かります。
利害関係者の視点
CSR活動を行う企業は、消費者やビジネスパートナーからの信頼感が高まり、その結果企業イメージが向上します。
また、そのような社会貢献活動を通じて、利害関係者は企業が持続可能な経営を真摯に目指していると感じ取ることができ、それが長期的な関係の構築に寄与するでしょう。
社会全体の視点
企業がCSR活動を通じて社会問題に積極的に取り組むことは、当然ながら、環境問題や貧困などの社会課題解決を加速させます。
CSR活動が抱える問題点や注意点 より効果的なCSR活動にするために必要なこと
CSR活動は企業が持続的成長を果たす上での重要な取り組みとなっています。
しかし、形骸化や表面的な取り組みも増えてきており、その課題と改善策について解説していきます。
CSR活動の課題:形骸化のリスクについて
CSR活動の目的は社会課題の解決と企業価値の向上ですが、競合企業との差別化やマーケティング戦略としての取り組みが増える中で、活動の本質が見失われるケースも見受けられます。
また、利害関係者への適切なコミュニケーションが欠如している企業も多く、本当の成果を上げることができていません。
企業は、透明性の向上を図るために利害関係者とのコミュニケーションを強化し、定期的なブリーフィングやフィードバックを行うと良いでしょう。
CSR活動と法規制・コンプライアンスの関係とは
CSR活動は法規制やコンプライアンスとも深く関わっており、特に環境保護や人権擁護などの活動は、各国の法律や国際基準に準拠する必要があります。
不適切なCSR活動は、企業のブランドイメージや信頼性を損なうリスクが高まりますので、常に細心の法規制に注意を払い、適切なコンプライアンス体制を築くことが求められます。
適切なコスト・リソース配分の考え方
CSR活動に必要なコストやリソースは、企業の規模や活動内容によって大きく異なります。
小規模企業・スタートアップ企業が行うCSR活動
小規模企業・スタートアップ企業がCSR活動を行う場合、大きな予算を割くことが難しいため、低コストで高い効果が期待できる地域密着型の取り組みがおすすめです。
例えば、地域のボランティア活動への参加や、地域資源を活用した商品開発などが考えられます。
スタッフの人数が限られているため、一人ひとりの多様なスキルを活用することが重要であるとともに、地域との連携を強化し、外部のリソースを借り入れることも検討しましょう。
中小企業が行うCSR活動
中規模企業が行うCSR活動は、小規模企業・スタートアップ企業に比べると予算の確保が容易になるため、専門のCSRチームの設置や、専門家との連携を考えることができます。
また、部署間の連携を強化することで、CSR活動の幅を広げることが可能であり、外部の専門家やNPOとの連携を活用すれば、専門的な知識やネットワークを取り入れることもできるでしょう。
大企業が行うCSR活動
大企業が行うCSR活動は、多額の予算をCSR活動に充てることができるため、広範囲なプロジェクトの実施や、独自のCSRプログラムの開発など、大規模な取り組みが可能です。
多数の社員や部署、国内外の拠点を持つ場合も多いため、様々なリソースを組み合わせてCSR活動を進めることができます。
また、独自の研修プログラムや社員のスキルアップを図ることで、CSR活動の質を高める取り組みも進められるでしょう。
CSR活動がブランドに与える影響とは? CSRとブランディングの関係性について
先ほども述べた通り、CSRとは、企業が経済的責任だけでなく、社会的・環境的責任をも果たすべきという考え方を指します。
従って、企業は、利益追求だけでなく、社会や環境への貢献も求められるでしょう。
CSR活動の具体的な取り組み
CSR活動の具体的な取り組みとして、環境問題関連では、リサイクル活動やエコフレンドリーな製品の開発、社会的には雇用機会の創出や地域活性化、また教育や福祉の分野における支援などが挙げられます。
企業がこれらの取り組みを行うことで、社会貢献につながり、企業のブランド価値を高める要因となるでしょう。
CSRと企業・商品ブランドの影響
CSR活動を通じて、企業は自らの価値観や考えを消費者に伝えることができます。
積極的に社会貢献を行う企業は、信頼性や誠実さといったポジティブなイメージを消費者から受けることが増加するでしょう。
このようなイメージは、消費者の購買行動やブランドロイヤルティにも影響を与える可能性があります。
具体的には、CSR活動を行っているブランドや商品に対する好感度が上がる、リピート購入が増える、新しい顧客層を獲得するなどのメリットが考えられます。
CSR活動とブランドイメージの整合性の重要性
CSR活動は、その企業や商品のブランドイメージと整合性がとれていることが重要です。
例えば、エコフレンドリーな製品を提供する企業が環境保護のためのCSR活動を行うことは自然ですが、逆に環境に悪影響を与える製品を製造している企業が同様の活動を行った場合、消費者から疑念を抱かれる恐れがあります。
このような整合性のない活動は「グリーンウォッシング」と呼ばれることもあり、ブランドイメージを損なう可能性が高まるでしょう。
したがって、CSR活動を行う際には、その活動が自社のブランドや商品のイメージと矛盾しないように注意が必要です。
CSR活動を用いたブランディングの成功事例をご紹介!
CSR活動の成功は企業の利益を上げることにもつながるため、CSR活動を用いたブランディングの成功事例からそのノウハウを学んでいきましょう。
三菱商事ファッション株式会社「NAGIE」
1つ目の成功事例は、三菱商事ファッション株式会社「NAGIE」です。
NAGIEとは、次世代型サステナブルD2Cプロジェクトのことで、大手繊維商社が手がけるサステナブルプラットフォームになります。
この企業は、アパレル業界で大量生産と大量廃棄が行われている点に着目し、使用済みのペットボトルを再利用した再生PETを用いて、D2Cで洋服の販売を始めました。
再生PETの使用により、ペットボトルリサイクル率の向上や、不要な廃棄物の削減が実現されています。
このCSR活動により、NAGIEブランドは、環境にやさしいアパレルブランドとしての位置づけが強化され、エコフレンドリーを求める消費者からの支持を受けています。
三菱商事ファッション株式会社の次世代型サステナブルD2Cプロジェクトの事例はこちら>>
京都紋付「K KUROZOME REWEAR FROM KYOTO」
2つ目の成功事例は、京都紋付「K KUROZOME REWEAR FROM KYOTO」です。
京都紋付は、100年以上の伝統を持つ黒染めの専門家であり、その技術と哲学を活かしてサステナブルなリウェアブランド『K』を立ち上げました。
このブランドは「大切な服をより長く着られるようにすることで、サステナブルな社会を実現する」というコンセプトのもと、汚れや色落ちした衣服を黒染めすることで好きな服を長く楽しむことができます。
国内では年間約100万トンの衣服が廃棄されており、そのうちの9割がリサイクルされずに温室効果ガスを排出しているという問題に対して、お気に入りの一着を長く楽しむ「黒染め」サービスの提供で、環境保全にも寄与しています。
MUGEN「築地もったいないプロジェクト」
3つ目の成功事例は、MUGEN「築地もったいないプロジェクト」です。
築地もったいないプロジェクトとは、築地市場で規格外やキズのついた廃棄されてしまう食品を活用する取り組みになります。
このプロジェクトは、飢餓で苦しむ世界中の人々に提供される食料を上回るほどの食料が日本で廃棄されているという社会的課題に着目しました。
実際に、築地市場では、味や鮮度に問題がないにも拘わらず、規格外やキズのために廃棄される魚が年間数十億円分存在しています。
このプロジェクトは「食の廃棄」という社会問題への新しいアプローチとして注目され、多くのメディアで取り上げられました。
さらに、フードロス問題への貢献が高く評価され「フード・アクション・ニッポンアワード」を受賞するなど、MUGENのブランドとしての認知度が向上し、企業の社会的な貢献活動としての評価も大きく向上しました。
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CSR活動を行う際には、企業や商品のブランドイメージとの整合性が重要であるということがお分かり頂けたでしょうか。
適切な方法で行えば、企業・ブランドイメージの向上にもつながるCSR活動ですが、単なる広告・PR活動にならないようにするためにも一度プロに相談してみることも大切です。
本記事を執筆している株式会社Birdmanでは、470件以上のアワード受賞歴を持ち、クライアントの皆さまとともに伴走することで企業の課題解決を目指すをモットーに広告制作を行っております。
企業やブランド、サービスの良さを引き出すブランディングの経験が豊富なBirdmanとともに、持続可能な社会にむけてよりよいモノを提供していきましょう。
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