差別化戦略って何?差別化戦略のメリット・デメリットとは
一般的な差別化戦略とは、他社と差別化を図ることで競争優位性を高める戦略です。元々は、アメリカの著名な経営学者であるマイケル・ポーターにより「競争優位の戦略」の一つとして提唱されました。
差別化戦略を導入することの一番のメリットは、競合する他社との価格競争をしなくても済むということです。
もし基本的な機能が同程度であったとしても、競合する企業にはない商品やサービス、コーポレートイメージを提供することになります。買い手にとってユニークな商品やサービス、企業であるとして位置付けられるため、競合他社と価格による比較をされることが少なくなります。
また差別化戦略により、新規参入の障壁を築くことができます。既存の企業が差別化戦略を実施すれば、新たにその分野に参入しようとする企業にとって、生産に必要なコストに加え、既存企業と差別化するためのコストを費やすことになり、優位性をアピールする必要があります。新規参入する上で、このことは大きな足かせになります。
一方、差別化戦略に伴うデメリットとしては、商品やサービスに付加価値を持たせ、価格を引き上げることで一定数の顧客離れが発生するリスクがあります。結果的に大きな損失を生む可能性が考えられます。
近年では、差別化と同様に独自性もブランディングにおいて語られるケースが増えつつあります。ブランディングにおける独自性とは、ブランドのアイデンティティを構成する一連のものと言うことができるでしょう。つまり、視覚、嗅覚、聴覚、触覚など五感に訴えるブランドの成長を促す要素のことを指します。
差別化するために必要な軸とは?
差別化を的確に行うには、4つの軸で施策を構築する必要があります。4つの軸は下記の通りです。
- ブランドイメージによる差別化
- 製品による差別化
- 顧客サービスによる差別化
- 流通チャネルによる差別化
これらの軸を複数組み合わせることができれば、業界の中でも確固たる立ち位置を確立することができます。この中でも今回の主旨である「ブランドイメージによる差別化」に関しては、後ほどさらに深掘りしてお伝えします。
製品による差別化
競合他社とは全く違う「特異性のある製品」を作り出すことで差別化する手法です。製品で差別化するには、以下のような方法があります。
- 機能的に他社に追随されない仕様を取り入れる
- 今までにない斬新なデザインを製品に取り入れる
- ユーザビリティを向上させ、使用者にとって使いやすい製品にする
- 品質を上げて、より良い製品を作る
- 市場に存在しない全く新しい製品を生み出す
- 付帯サービスを充実させる
今までにないオリジナリティの高い製品で差別化することで、他社製品より価格が高くても競争力が高く売れる製品を作り出すことができます。
顧客サービスによる差別化
業界の中でも特異性のある、魅力的な顧客サービスを提供することで差別化する方法です。顧客サービスによる差別化には、下記の点が重要になります。
- 他社にはない付加価値となるサービスを企画する
- 自社の強みやこだわりを顧客に伝える
- 全従業員が経営理念を理解して仕事をする
- スタッフが成長できる環境を整備する
- サービスの品質を向上させる仕組みを作る
流通チャネルによる差別化
流通チャネルによる差別化とは、顧客に商品が届くまでのルートに特色を出すことで差別化を図る方法です。
近年では、商品を対面で販売する実店舗と、インターネットで気軽に購入できる通販サイト、そして有用な情報を配信している情報サイトなど複数の流通チャネルを持っている企業が増えています。
複数のチャネルを上手く連携させて顧客にアプローチすることで、Webから実店舗への誘導や、その逆のルートで購入を促し、売上を拡大させています。
ブランディング戦略で得られる効果って何?
ブランディング戦略による効果を詳しく見ていきましょう。他社との差別化を図れる以外にも、下記のような効果があります。
顧客ロイヤリティの獲得
顧客ロイヤリティとは、顧客が企業や製品、サービスに対して「愛着」や「信頼」を持つことを指します。効果的なブランディングによる価値の訴求は、顧客をファンにし、顧客ロイヤリティの向上につながります。
価格競争からの離脱による利益向上
現代の社会ではどの分野にも競合は多く存在し、価格競争や技術競争が頻繁に起こります。しかし、ブランディング戦略を実施することで、ブランド価値を確立し認知向上を目指せば、技術競争を回避し価格競争から離脱することが可能になります。市場の価格競争から離脱することで、高い利益率を確保することができます。
多額の宣伝費がかからない
ブランディング戦略を行い、ブランドが定着し、ファンとなるユーザーが増えると最小限の宣伝や広告でもユーザーは購入してくれるようになります。また、企業のファンとなったユーザーは自発的にブランドや商品をSNSなどで他者に宣伝してくれるでしょう。
差別化に必要なブランディング戦略の考え方・ステップを解説!
ブランドを用いて差別化戦略を行う際には、下記のステップに沿って検討することが必要です。
- ターゲットを明確にする
- 市場におけるブランドポジショニングを決める
- ブランドとアイデンティティを定義する
- ブランドの宣伝を行う
ターゲットを明確にする
ブランド戦略を立てるには、まずターゲットを明らかにすることが重要です。ターゲットの年齢や性別などペルソナをできるだけ細かく設定し、どのようなコンセプトが相手に刺さりやすいかを検討します。
市場におけるブランドポジショニングを決める
次に市場におけるブランドポジショニングを決めます。その理由は、同じ市場の商品でも品質・価格帯・機能性・デザイン性のどれを追求するかによって、差別化するべきポイントが異なるからです。
ブランディングを明確に行えば、価格が高くても「自分にとっては見合う価値がある」とユーザー自身に納得感を感じてもらいやすくなります。
ブランドアイデンティティを定義する
ブランドアイデンティティとは、一言で説明すると、ブランドに企業が託したコンセプトのことです。ブランドがどのような世界観を演出し、ユーザーに対してどのようなメリットを提供できるのかを指します。
ブランドの宣伝を行う
最後に、ブランドのイメージを消費者に拡散するためのプロモーションを行なっていきます。五感に訴えるようなブランドのキャッチコピーやロゴを作成することで、消費者にイメージしてもらいやすくなります。
ブランディングの差別化を成功させるためのポイントと注意点を解説!
ブランディングの差別化を成功させるためのポイントは、特に他社を研究分析して、自社ならではの独自性を確立すると差別化を図りやすくなります。この時に、機能的価値ではなく感情的価値で差別化することが成功のポイントです。
感情的価値とは、顧客がブランドや製品、サービスに対して持つ特別な感情の価値のことです。感情的価値で顧客を掴むことは、他社と差別化するポイントであり、製品やサービスを開発する時にも、顧客の感情を上手く掴むための差別化を図るとよいでしょう。
また、差別化戦略の注意点についてもお伝えしておきます。それは、差別化と価格差のバランスが非常に重要であるということです。
ここまでの解説で「差別化とは、競合より高くても売れる状態を作ること」と定義してきましたが、価格設定を高くしすぎるとそもそも購買につながらず、ビジネスが衰退してしまうという可能性があります。
安売りではないけれど、高すぎではないという絶妙な価格付けを行うことが、差別化戦略での注意点です。
ブランディングの差別化戦略で成功した事例をご紹介!
本記事を執筆しているBirdmanが実際にお手伝いさせていただいたブランディング事例をいくつかご紹介します。
事例1:ミクシィのコーポレートブランドのリニューアル
多面的なコミュニケーションサービスを提供する株式会社MIXI(ミクシィ)は「ミクシィ=SNS mixiを提供する会社」というイメージを「ミクシィ=心もつなぐ様々なサービスを展開している会社」へアップデートすることで差別化をすべく、コーポレートブランドをリニューアルしました。
Birdmanは、新しいロゴに込めた意思をmovieで表現しています。
伝えたいコンセプトは、ミクシィがコミュニケーションを軸に展開するサービスの全てが、人々をワクワクさせ、ただつながるだけではなく「心もつないでいる」サービスであるということです。
アウターブランディングとインナーブランディングの両方に影響を与えるコーポレートブランドであるからこそ「何を伝えたいのか」を明確にし「どう表現すれば伝わるのか」を形にすることの重要性が表れている差別化事例です。
動画コンテンツが浸透している今、ステークホルダーへの訴求に一貫性を持たせるツールとして、見た人全員の「心もつなぐ」ことを表現しています。
事例2:「エステティックTBC」ブランド広告
キーメッセージである「ゴールがあるから美しい。」を開発し、玉石混交のエステ業界において「”毛を抜くこと”にフォーカスした脱毛サロン」とは一線を画すコミュニケーションを展開しました。
特にCMでは美しさの「発見」をゴールに見立て、ゴールにたどり着いた時の達成感、多幸感を描いています。
ブランディングにおける差別化戦略では「TBCエステティシャンは、ただ毛をなくしているだけではない」ことを起点に本質的な価値、プロポジション、クリエイティブを行っています。
女性の美意識・価値観がかわりつつある今、女性が「エステティックTBC」を選ぶことは、「自分を喜ばせる美しさ」に出会え、美しさを纏ったポジティブな自分になれることにつながるというコンセプトが言語化されています。
事例3:「fondesk」の認知、利用意向の創造
企業の経営層および大企業の総務・管理系職種におけるソリューションを提供する「fondesk」の認知向上、利用意向の創造を行いました。
コンセプトの軸に「TELハラ」(年齢や肩書によって電話対応を押し付けられる状態をfondeskが命名)を据え、TELハラを見出すまでの仮説設計、調査企画・設計からクリエイティブ、PR、SNS施策、メディアプランを担当しました。
これまで顕在化してこなかった「TELハラ」に対して気づきを作り、6億円に相当するメディアの露出効果を得るに至りました。その結果、fondeskの認知・利用意向及び差別化の効果を大きく高めています。
このようなブランディングにおける差別化には専門家のサポートが有効です。自社内だけで差別化を行うことは、外部からの視点が抜け落ちている可能性が高いからです。
株式会社Birdmanでは、さまざまな規模の企業に対しブランディングの策定から差別化の提案までをワンストップで提供しています。
- 「どこからブランディングを始めたらいいの?」
- 「差別化をするならどこが自社の強みになるのか」
- 「ブランディングの効果が出ているのか分からない」
- 「現状を変えたいが、自社のリソースでは限界がある」
このような課題をお持ちの場合には、プロフェッショナル人材が柔軟でスピーディーにアドバイスいたします。
Birdmanのプロジェクト事例やクリエイターインタビューなど、紹介します。