【Birdman journal】「Birdmanの『強み』を伸ばしたい」社外マーケティングアドバイザーに就任した野辺一也が語る業界の現在

2022年10月1日より、現在スマートニュースで日本コンシューマー事業責任者を務める野辺一也氏が株式会社Birdmanの社外マーケティングアドバイザーに就任しました。ローソン、メルカリでCMOを経験してきた野辺さんがBirdmanに参画した理由とは? 野辺さんのこれまでの経歴や仕事への考え方を掘り下げつつ、Birdmanの「可能性」についても語っていただきました。

野辺一也 / KAZUYA NOBE

青山学院大学経営学部卒。大学在学中にIT関連事業を起業。その後外資系コンサルティング会社(PwC/Arthur Andersen)にて事業戦略・マーケティングプロジェクトを主導。2007年に株式会社リヴァンプに参画し、支援先の化粧品会社CEOとして事業再成長を実現。2013年株式会社ローソン上級執行役員マーケティング本部長。2019年株式会社メルカリ執行役員CMO兼CBOとしてメルカリ日本事業の成長に寄与。2022年スマートニュース株式会社入社、日本コンシュマー事業責任者。その他、株式会社ロイヤリティマーケティング(ポンタポイント運営会社)などの社外取締役も歴任。
2022年10月1日より、株式会社Birdman社外マーケティングアドバイザーに就任。

起業後、コンサルでつけた基礎体力


――まずは野辺さんのキャリアについてお伺いしていきたいと思います。在学中に起業されているんですよね

大学の時にWindows95が発売されて、ようやくインターネットが多くの人にとって使われ、eコマースも始まるような時代でした。「ネットですべての端末がつながる」ということにとても可能性を感じて、ワクワクしましたね。まずは行動してみようということで、海外のインターネット関連のカンファレンスに行って、日本にまだ進出していないサービスを展開するなど、新しい事業やサービスを推進するための会社を設立しました。約3年ほど社長として経営しましたが、実際のビジネスを通じて、身に付けないといけない知識やスキルがたくさんあることを実感しました。

その後会社を事業譲渡する機会があり、足りないスキル・経験を得るためにコンサルティング業界に入りました。PwCやArthur Andersenでは戦略立案や、マーケティングなど幅広いプロジェクトに携わりました。結局コンサル業界には10年ほどいましたが、物事を構造化する力、コミュニケーションスキル、意思決定のフレームワークといった基礎体力をしっかりとつけられたと思っています。

――その後株式会社リヴァンプに参画され、「経営者」の立場になられましたね。

コンサルタントとしてクライアントの意思決定をサポートしていましたが、やはり自らが責任ある立場として最終的な意思決定や結果責任を果たしたいと思う気持ちが強くありました。 リヴァンプ創業時のメンバーとして参加するチャンスがあったので転職しました。リヴァンプでは、支援先である化粧品会社を任されることになり、33歳でCEOとして経営に携わることになりました。社員は150人くらいで、社員の生活を含め責任を持つ立場になりました。コンサルの時に一緒に仕事をした大企業とはまた違っていて、CEOとして様々な問題を解決していかなければいけませんでした。与えられた環境がどうであれ、自ら考えて実践し、業績をあげないといけない。すごく大変でしたが良い経験でした。

約6年半CEOとして取り組みMBOも実施、中国市場への参入もして海外展開も軌道に乗ってきて、経営者として一つの区切りを迎えた感じがありました。39歳になっていましたが、もっと自らが成長したかったので、違う環境に身をおいて、次の挑戦をしようと決めました。

好奇心を失わず、チャレンジを原動力に


――そこでローソンに移られたんですね。

はじめは新規事業の立て直しをする役割で入社したのですが、コンビニもデジタル活用が重要になっていく中で最終的にCMOとしてポイントや決済、デジタルを含めたマーケティング領域の責任者を務めました。全国で15,000店舗、コンビニってインフラになっているので、社会に与えるインパクトがものすごく大きいんですよね。自分の携わるサービス・商品が社会に繋がっていく面白さというのを感じられました。

ローソンでの仕事はとてもやりがいはあったのですが、入社した時に最年少役員として40歳で入ってから6年経っても自分が最年少という状態でした。AppleやGoogle、Amazonなど一緒に仕事をする機会が多かったのですが、もっと若い人たちがどんどんチャレンジして、世の中を変えるチャレンジをしている姿をよくみていました。

スタートアップのように常に新しいチャレンジが起きている、世界に通じるようなチャレンジをしている領域で、自ら最先端に身を置いて挑戦していきたいなという気持ちが大きくなりました。ちょうどそのタイミングでメルカリの山田進太郎さんとお会いして、ミッションや考え方に共感してメルカリに入りました。

――かなりカルチャーも違ったのではないですか。

スタートアップはカルチャー、コミュニケーションツールなど大きく違いましたね。より生産性が高くてクリエイティブな仕事ができるようなワークスタイルにアジャストできたのはとてもよかったかなと思っています。メルカリではCMOとCBOとしてマーケティングと事業開発を担って日本GMV成長に対して責任を持たせてもらいました。上場後に日本事業の成長率が鈍化していたのですが、メルカリではマーケティングターゲットを出品者転換してクリエイティブやプロモーションを見直したり、メルカリステーションやメルカリポストなどオフラインとオンラインを連携したOMOを推進するなどGMVの成長率を回復させることができました。 メルカリでの3年はとても濃密なものでしたが、スタートアップ業界で「次のメルカリ」を目指す会社を一緒に作ってみたいと思い、今年の4月よりスマートニュースに日本事業責任者として着任しました。

――お話を聞いていると「チャレンジしたい」という気持ちが野辺さんの原動力になっているのかなと感じます。

それはあると思います。環境が楽になってくると成長が止まると考えていて。未知の領域に自分の成長の伸びしろ、好奇心を満たせることがあるんだったらそこに行きたい、という気持ちがあるかもしれませんね。もちろん仕事を始めた頃はそんなふうには思っていませんでしたが、今思い返すとそうなのかなと。好奇心を持って、いかにコンフォートゾーンから出て自分がチャレンジできる環境に飛び込んでいくか、ということが重要なのかなと思っています。

自分の知見を社会に還元したい


――その中で今回、Birdmanに参画していただいたのにはどういったきっかけがあったのでしょうか?

もともと私がローソン時代、Birdmanがエードットだった時に一緒に仕事をしたことがあるんです。社長の伊達さんはじめ、若いメンバーが頑張って新しいチャレンジをしているな、という印象でした。当時はセールスプロモーションから始まり、プロダクトローンチの話題化、それからパッケージデザインなどもやってもらったりしました。新しいアイディアをどんどん持ってきてもらうというやり方で一緒に仕事をしていましたね。

その後もBirdmanが事業領域を広げているのは見聞きしていたので、常に新しい挑戦をしているなと興味を持って見ていました。伊達さんとはその後も定期的に情報交換していたのですが、今回改めてお声がけいただき、社外アドバイザーとして参画することになりました。実は今までもアドバイザーなどの依頼を頂いたことはあったのですが、今やっている事業に対する責任もありますし、本業に集中してやりたいと考えていたのでお断りしていました。

――そんな野辺さんが、今回社外アドバイザーのお話を受けていただいた理由について教えてください。

ローソン、メルカリ、スマートニュースと経験してきて、共通しているのは「従来型のマーケティング手法では成長し続けることは難しい」と痛感したことです。コミュニケーションだけに頼ったマーケティングは限界を迎えていると思います。スタートアップの業界内でいうと、いわゆるプロダクトマーケティングフィット(PMF)が終わり、CMなど広告投資を行うことで認知を取って成長していくのですが、認知度が上がってくると成長が鈍化してくるというケースが多く見られています。

アメリカだと「グロース」と言われる領域で完全に定義、認知されているものなのですが、成長の段階に応じてグロースの仕組み化が重要になっています。私はメルカリとスマートニュースでこのようなグロースに挑戦してきました。このグロースの課題は多くの業界や会社でも抱えているので、これをもうちょっと共通の知見にしていくことが必要かなと考えていたんです。そういう中でBirdmanもトラスフォーメーションを様々な視点から推進していこうとしているので、一緒にそのような取り組みができればと思ってお話を受けることにしました。

――タイミングが合致したという感じですね。

まさにそういう感じかなと思います。

広がる「マーケティング」領域、複数の多様な視点が必要


――現在のBirdmanの印象はいかがですか。

まだそこまでしっかりとプロジェクトに入り込めているわけではないので、主に外からの印象とはなってしまいますが、やはりチャレンジする姿勢がみなさんから感じられます。以前仕事をしていたときも、失敗を恐れず大胆な提案をしてきてくれていましたが、それが本当に良さだと思います。Birdmanが強みとするクリエイティブに、もともとエードット時代から強かったアイディアジェネレーションを組み合わせて、マーケティングの領域だけではなく、事業を活性化するトランスフォーメーションにチャレンジしていくんだろうなと見ています。

クリエイティブやマーケティングにおける失敗とは、ノイズが何も生まれないこと。「バズる」と「炎上する」は紙一重ですからね。その点Birdmanはエッジの効いたアイディアを提案してくれていましたし、挑戦的だしアグレッシブだなと感じていました。メンバーもそういう、挑戦する気持ちを持った人が多いからなんでしょうね。

年々マーケティングの領域は広がっていて、マーケティング組織だけではできないことも多くなってきていると思います。マーケティング起点で事業やプロダクトをどう変革していくか。マーケティングは価値創造のプロセスを担うべきだと考えています。事業開発、パートナーシップ、商品など、消費者とのタッチポイントも含めて考えるべきことは広がっていっています。単純にペイドメディアに出稿して、プロダクトの価値を伝えて……といった単純なところではなくなってきています。

Bridmanは今でもクライアントに対して一気通貫したコミットメント、幅広いインサイトやソリューションの提供、実現力といった力を持っていると思いますが、私もサポートして戦略的にクライアントに対して価値のある提案をしていけたら良いかなと考えています。

――マーケティングのお話が出ましたが、現在の業界の潮流や変化についてはどうお考えですか。

先程の質問と少し重複しますが、マーケティングにはもう一度、ユーザーに対して商品やサービスの価値創造のプロセスを回す、主体的な役割が求められてきていると思っています。一口にマーケティング組織といっても、求められているスコープは広がっていると思います。

現在はプロダクトマーケティングの経験者が多いと思いますが、今後は事業開発、ビジネスディベロップメントの領域にも関わってくることになると思います。実際にスマートニュースでは私が責任者となってプロダクトの作り変えなどもやっていますが、プロダクト自体をマーケティングが起点となりより良くしていくという観点で、どのような役割を担うのかが問われてきていると思います。

ユーザーとの接点、コミュニケーションという観点から、縦にも横にもスコープが広がっていっているなと思っています。従来型の広告を考えるだけでは時代に取り残されていくと思っています。そういう意味で、いろんな業界を経験し、複数の視点を持っているマーケターがより求められていると思いますね。新しいところからいかに持ち込んでこられるかどうかですね。

――そういった複数の、新しい視点というのはどうやったら身につけられるものでしょうか。

1社にしか勤めていない人だったとしたら、外部の人との接点をより多く持つようにしたほうがいいですね。意識的にネットワーキングをしたり、副業を取り入れることによって、違う業界や事業に対する知見を間接的に得たり、本業でもポジティブな影響を与えられると思います。

Birdmanの「強み」を作るために


――Birdmanは2021年9月から新規事業として、エンタメ領域にも進出しました。こちらの動きについてはどう思われますか?

マーケティングの観点から見ても面白い動きだと思います。商品やサービスを届けていく際に、単純な広告を打つよりも、アーティストのような「メッセージを届ける力」を持った人が発信したほうが届いたり、アーティストきっかけで商品を知るきっかけになったりすることもあるなと思います。エンタメとのコラボレーションというのはまだまだ可能性がある領域だと感じますね。企業でもエンタメを活用した動きは大きくなっているので、私が入ることでストラテジックな提案もしていけたら良いなと思います。

マーケティング、そしてエンタメもあるからこそ、「マーケティング」の領域が広がっていく中で、Birdmanが提供できる価値も広がっていくと思います。企業に対し、抱えている課題を認識した上で、Birdmanが持っているソリューションをどのように総合的に、戦略的につなげていくのかを考えていくべきですね。企業のニーズや相手の組織、課題認識をもっと解像度高くできてくれば、Birdmanの持っている強みを生かした提案がよりできてくると思います。今後トレンドを含めて提案ができるように、Birdmanらしさ、強みを作っていけるように、私もぜひサポートしていければと考えています。

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