DXの最新トレンドとは?最新技術やDX成功の秘訣を解説!

そもそもDXってなに?トレンドワードについても解説!

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、変化が激しい現代において企業がデータやデジタル技術を活用し、業務プロセスや組織構造、顧客への価値提供を変革し競争優位性を高めることです。

また旧態依然としたシステムからの脱却や、企業風土の変革を実現する意味も含まれます。

DXに関するトレンドワード

DXの浸透に伴って、DXに関するトレンドワードが登場しています。例えば、NFTもその一つです。また、ブロックチェーン技術により構築された、新たな金融システム「DeFi(Decentralized Finance)」は現在大きな注目を集めており、情報感度が高いベンチャーキャピタリストや個人投資家を中心にすでにDeFiを利用した取引が行われています。

もちろんメタバースや暗号資産もDXに関連するトレンドワードと言われています。

なぜDXがトレンドになるのか

DXが注目を集める背景には、市場のグローバル化や労働力不足、消費者のニーズや価値観の変化があります。DXの推進によって、インターネットを通じてグローバルなマーケティングが可能になり、ビジネスチャンスが広がることはDXのメリットの一つです。

DXの現状

あるコンサルティング会社の調査によると、DXの取り組み状況について、回答者の59%は「経営戦略に基き、全体的にDXに取り組んでいる」と答えています。

一方で「十分な成果が出ている」と答える回答者は10%に留まっています。「何らかの成果が出ている」と回答する企業が半数あまり存在していますが、成果が芳しくないとみる回答者も約3割存在しています。

この結果を見る限り、日本企業の多くはDXに成功していると言えるまでに至ってはいないでしょう。

DXの課題

DXを実現するためには「何のためにDXを行うのか」という目的を明確にすることが大切です。「行政が推奨しているから」「競合がデジタル化に取り組んでいるから」などの表面的な理由では、DXが戦略的に行われず、結果的に中途半端な状態になり、時間やコストを無駄に浪費するリスクがあります。

また、人材面でDX推進チームが存在しないことも失敗しやすいポイントの一つです。どんなに優れたデジタルツールを導入しても、営業担当者が扱えなければ意味がありません。推進チームにはデジタル人材を登用し、社内研修、セミナーを通じて営業担当者の教育を支援していく必要があるでしょう。

DX白書とは

2021年10月にはIPAが「DX白書」を発行しています。これには大規模な調査・分析から整理されたDXに関する最新情報を得ることができます。「戦略」「人材」「技術」の3つのテーマから日本企業の課題分析やDXへの取り組みの方向性について論じています。

この1年でDXのトレンドは変わった?トレンドの流れをチェック!

2021年から2022の一年間で、DXのトレンドは変化しています。特に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、オフィスの閉鎖や流通の停滞など、大きな影響を受けた企業は多岐にわたります。

ある大手コンサルティングファームの調査では、大半の企業がコロナ禍でDXの優先順位が高くなったと考えていることがわかりました。

アンケートによると、新型コロナウイルスの感染拡大によって全体の85%の回答者が「(DXの緊急性について)より緊急性が高くなった」と回答しています。業界別に見ても、エネルギー業界で100%、消費財業界で93%、最も低いヘルスケア業界でも67%とDXに対する意識の高さがうかがえます。

また、DXへの投資が増えると予想している回答者も60%に上っています。今後もDXの推進を加速させる可能性は高いでしょう。

【業界別】現在のDXのトレンドとは?

それでは、業界別にDXのトレンドがどのような変化を見せているのかを個別に見てみましょう。

製造業界

製造業の中でもDX化の動向が激しい自動車産業では「CASE」に代表される業務改革がトレンドになっています。CASEとは下記の頭文字から取ったモノです。

  • Connected(接続された)
  • Autonomous(自動化)
  • Shared & Service(共有化)
  • Electric(電動化)

自動車産業では、自動車を単なる移動手段ではなく、社会を巻き込んだスケールの大きいDX施策として取り組んでいることが特徴です。

金融業界

次に、金融業界ではどのようなDX化の動きがあるのでしょうか。日本経済の基盤であり、牽引する立場の金融業界にも、DX化の波は押し寄せているのですが、業界全体としてはまだ最先端のDX効果を最大限発揮するに至ってはいない状況です。

現在、各企業がサーバーを置いて自社専用の情報システムを構築するオンプレミスシステムから、クラウドシステムへの移行が急速に進んでいます。

しかし金融業界では、サイバーセキュリティ対策への不安から、クラウドシステムへの対応をどのように進めるか慎重な姿勢を見せています。

小売業界

最後に、小売業界ではどうでしょうか。小売業界では新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、いまだに店舗への客足や売上が低迷しているという課題を抱えた企業が少なくありません。

その中で5Gの普及やECの利用率上昇を追い風に、店舗DXの実現が盛んに行われています。一つは、AIカメラやセンサーを活用した顧客行動の分析です。

AIカメラによって顧客の来店人数や滞在時間、混雑する時間の計測を行い、店内レイアウトの改善やマーケティングに活用されています。

また、バーチャル店舗もDX化のトレンドの一つです。バーチャル空間の中に店舗を構築し、実際に店舗まで足を運ばなくても店内を歩いているような体験を提供できるというものです。

2022年は特に不動産業界や家具インテリア業界などで、導入が急速に進んでいます。

DX推進のために必要なこととは?成功への鍵や注意すべきことも解説!

DXを推進するにあたって、課題となるものは何でしょうか。下記の3つのポイントに着目します。

①コストがかかる

レガシーシステムと呼ばれる既存の古いシステムを刷新する場合、DXに精通した人材の確保やベンダーの活用に、多くのコストがかかる可能性があります。逆にコストを圧縮してしまうと、有用性が下がり頓挫してしまう可能性があるでしょう。

②結果にすぐにつながらない場合がある

現在の段階でDX化には成功の方程式があるわけではなく、実行していく中で試行錯誤が必要な分野です。企業内で理想とする姿への食い違いなどが起こると、すぐに結果となって表れないケースも多数存在します。焦らず計画的に推進することが重要です。

③組織風土が変わる

DXは言葉のとおり改革を意味しています。これまで紙や印鑑の文化が根付いている組織では、DXの導入に反発する社員が出てくるかもしれません。DXを力強く進めていくためには、社員に対して「なぜDXが必要なのか」を丁寧に説く必要があります。

DXを成功させるポイント

DXを成功させるコツはあるのでしょうか。ポイントは3つあります。

  • DXの全体構想から考える
  • 自社でDXを主導する
  • 全社的なDXリテラシーの向上を図る

DXが自社で完結する取り組みとして進行した場合、顧客への価値提供が実現しなかったという失敗例があります。必要なのは「DXの全体構想を考える」という工程です。しっかりと自社DXの全体像を描き切ることが大切です。

次に大きな鍵を握るのが「自社でDXを主導する」というポイントです。DXの取り組みは着実に進めることが重要ですが、いち早く市場優位性を確保するためのスピード感も大切です。

市場変化による急な変更もDXでは起こり得ますので、自社でDXの舵取りができるような体制を構築し、ベンダー・パートナー企業との関係性を構築しましょう。

最後は全社的なDXリテラシーを高めることです。「DXとは何か?」という問いに、全社員が一定水準以上の理解を持っていることが理想となります。

この取り組みは一部門で完結することはなく、他部署の理解と連携があって初めて事業単位のDXが成功します。DXの最終的な目的は「顧客への新しい価値の提供」であるため、DXのリテラシー向上を図ることが初めの第一歩となります。

このように、DX化を推進するには一部の業務プロセスを自動化するのではなく、企業風土や文化の変革が必要になります。

そのため、企業のトップが率先してDXにコミットする必要があります。特に人材面では、現在DXに必要な最先端デジタル技術を持っている人材は不足しています。企業内でDX化を進めるには、DXに精通した人材の採用や育成が欠かせません。

DXの成功事例2選!

DXの成功事例を2つ紹介します。

事例1:お客様とのコミュニケーション

ヘアカラーのホーユーのDX化事例をご紹介いたします。従来、サロンでのヘアカラーはカラー剤の調合がスタッフの経験によって行われるため、属人的になってしまうという課題がありました。

そこでBirdmanでは、お客様の髪の状態や希望する色を入力すると、最適な調合量が算出されるアプリの開発を行いました。

スタイリストが活用するだけではなく、お客様が同じタブレットの画面を見ながらカラー選びができるというUXを開発しました。カラーリングを簡単にするだけでなく、お客様とのコミュニケーションにもつながる施策として提案することで、DX化に寄与しています。

ヘアカラーのホーユーの事例の詳細はこちら>>

事例2:サービスを身近に

うるるのfondeskをご紹介いたします。 

同社には新たな顧客獲得を狙い、企業の経営層および大企業の総務・管理系職種へサービスの認知、利用意向をつくっていきたいという課題がありました。

そこで、コミュニケーションの軸となる「TELハラ」という言葉を見出すまでの仮説設計、調査企画・設計からクリエイティブ、PR、SNS施策、メディアプランを実施しました。新卒入社直前の「働き方」が話題になるタイミング(2021年3月31日)に朝日新聞全国版の一面広告とSNSコミュニケーションを行いました。

これまで顕在化してこなかった「TELハラ」に対して大きな気づきを作り、サービスの利用機会を身近に感じさせることに成功しています。「TELハラ」という言葉は、新たな職場での課題として報道・情報番組に大きく取り上げられ7億円相当のメディア露出効果を得ました。

施策を実施後、広告経由を除いて、fondeskのWEBサイトへのアクセスは前年同時期と比べて「195%」増加しています。またこれまではITベンチャーが主顧客でしたが「TELハラ」の広告をきっかけに「ITベンチャー」以外の業種からの問い合わせや契約も増え、サービスが拡大しています。

fondeskの事例の詳細はこちら>>

DXの次にくるものとは?キーワード・最新技術・ビジネスを解説!

DXの次にくるものは、VX・GX ・SXと言われています。

VXとは「バーチャルトランスフォーメーション」のことで、現実と仮想空間の融合を指す概念のことです。VXでは「AR(拡張現実)・VR(仮想現実)・MR(複合現実)」の3つを総称したXRの技術が用いられます。

例えばメタ社が提供する「Horizon workrooms」は、一般的に使われているWebミーティングの機能に加えて、XR技術を活用して360°全方向で会議ができるプラットフォームです。

この例のように今までにはなかった次元を追加することで、更なる社会変革が起こることが考えられます。

次に、GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略で、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない構造への転換を指します。地球温暖化が深刻になる近年ではGXによる社会経済の変革はますます求められていくでしょう。

最後に 、SXとは「サスティナビリティトランスフォーメーション」のことです。企業を継続的に運用させていくことと、ESG(環境・社会・ガバナンス)とのバランスを保つ経営のあり方を変革する指針です。

企業は稼ぐ力を追求するだけではなく、社会的な立ち位置についても意識する必要があります。

以上のキーワードに加えて、DXの次を支える最新技術としては以下のものが主にあげられます。

  • AI
  • デジタルツイン
  • XR
  • 量子コンピュータ
  • 5G

AIは、人間の知的行為の一部をソフトウェアを用いて人工的に再現したものです。例えば、声をかけるだけで利用できるスマートアシスタントや、今度のトレンドを分析する需要予測、不良を検知する異常検知などさまざまな分野で活用されています。

デジタルツインとは、日本語に訳すとデジタル空間上の双子という意味を持ち、現実の社会に存在する物理的なモノから得られるさまざまな情報を、デジタル空間に転送して利用する技術のことです。

XRは上記で解説した通り、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)・MR(複合現実)の3つを総称した技術のことです。

また量子コンピュータは、今までのコンピュータよりも難易度の高い計算を可能にした次世代技術のことです。

最後に、5Gは第五世代移動通信システムのことです。現在ではスマートフォンでも受信できるようにまでなっていますが、従来の4Gに比べて通信速度が約20倍になったため、今まで以上に途切れのない通信が可能です。

今後はこれらの技術を使用した、これまでにない新たなビジネスが数多く登場するでしょう。